2010年 第2号 Vol.161
 
 編集・構成 奥貫 晃

 
 発行人:今井 康了
 発行:日本特撮ファンクラブG
 

 はじめに
 どうもお待たせ致しました。また1年振りになってしまいましたが、いかがお過ごしでしょうか。相変わらずの発刊ペースではありますが、おかげさまを持ちまして『G会報』は創刊25周年を迎えました。こんなペースですがまだまだ力ある限り続けて行きたいと思います。どうか今後ともお付き合いいただければ幸いです。

 2010年・特撮本新刊続々登場シリーズ

 今年は特撮関係、中でも東宝特撮を扱った本に非常に充実したものがいくつか発売されました。そのいくつかを紹介していきたいと思います。

『「ゴジラ」東宝特撮未発表資料アーカイブ プロデューサー・田中友幸とその時代

角川書店¥4200税別

 東宝撮影所の助監督室より発見されたという大量の資料、その中に企画段階のシナリオや未製作に終わった作品の資料等があった事から出版に至った労作である本書は、大きく分けて 84『ゴジラ』が製作されるまでに書かれたいくつかのシナリオ、プロットの章、一般よりストーリーを公募した『ゴジラVSビオランテ』の章、昭和30年代より企画はされたが未製作に終わった作品の章の3章に分けられています。

特に圧倒されるのは、 84『ゴジラ』の章で、企画初期の『ゴシラの復活』が55年に海上日出夫氏によって書かれた『ゴジラの花嫁?』をベースにしたもの(!)だったとはかなり意外でしたが、この後77年に書かれた『KING OF MONSTER ゴジラの復活』はすでに完成作品の原型となっているのも意外でした。この当時は毎年正月に発表される東宝のラインナップにゴジラのタイトルが挙がりながらなかなか実現せず、『メカゴジラの逆襲』から10年近く空いたブランクですが、これはあくまで結果的なもので、田中プロデュサーとしては常にゴジラ復活に向けて水面下で動いていたという事を実感させられます。

『VSビオランテ』の章では、公募作の一つ『ゴジラ対巨大ロボット軍団』をベースに関沢新一氏が執筆した『ゴジラ伝説 アスカの要塞』は随所に関沢氏のタッチが滲み出ていて捨てがたい作品でした。『ゴジラVSキングギドラ』の際にはもうひとつの候補に挙がっていたそうですが、もしこちらの方が実現していたら果たしてどうなっていたか。山浦弘靖氏による『SOS日本 ゴジラ特攻作戦』は、チャンピオンまつり時代かと見紛うような内容で、怪獣のネーミングなど山浦氏が手掛けた『ミラーマン』のエピソードのリメイク的な部分もさる事ながら、主人公のネーミングがなんと「一文字隼人」だったりと、84『ゴジラ』の後にこういったプロットが作られていた事に驚かされました。

そして未製作作品の章。これまでムック本等でシナリオの存在については紹介されていた『フランケンシュタイン対ゴジラ』、『空飛ぶ戦艦』、『モスラ対バガン』など、こういった未製作作品のシナリオやプロットは、読んでいて直接映画化には難しいだろうと感じる部分がある一方、後の他作品に部分的に転用されている箇所が見られたりするのが興味深いです。 84『ゴジラ』完成作品に登場したショッキラスが、実は先の『ゴジラの花嫁?』に登場していた巨大ノミが原型だったとは初めて知りました。また、『続キングコング対ゴジラ』では九州、中四国が主舞台になっており、いまのところ果たされていないゴジラの四国上陸シーンがあるのです。北海道と九州は劇中でゴジラが上陸したのは平成になってからですが、かなり早い時期にプロット段階では四国に上陸していた訳です。

ともすれば棄てられていたかも知れないこれらの資料ですが、東宝特撮映画を語る上だけでなく、映画が創られて行く過程を知るうえでも大変貴重なものであり、こうしてこの時期に本として出版した意義は大きいと思います。


『怪獣人生 元祖ゴジラ俳優・中島春雄

中島春雄著  洋泉社 ¥2900税別

『緯度G大作戦』やGの20周年パーティーにもゲストで来ていただいた中島春雄さんの自伝本。着ぐるみ俳優としてのお話もさる事ながら、特撮・怪獣作品だけでなく東宝撮影所黄金時代の生き証人としてのエピソードが非常に印象に残りました。大スターの三船敏郎氏も大部屋俳優も仕事を離れれば対等に付き合っており、『蒲田行進曲』のような話は考えられなかったという東宝の社風の自由さを垣間見る一方、70年代、映画の斜陽化で俳優を引退し、東宝のレジャー関連会社への転職を余儀なくされるなど、東宝撮影所の歴史の光と影を見る思いでした。一緒に関連会社に転職した俳優仲間がリタイアしていく中、中島さんは定年まで東宝で勤められたのは軍隊経験があったからとの事ですが、社会人としては身につまされる部分もあり、また勇気付けられるお話でした。8月に行なわれた出版記念パーティーは中島さんのご家族、当時のスタッフから現在の特撮関係者の方々、特撮ファンが大勢参加して盛大な会になりました。中でも俳優仲間で、近年でもゴジラやウルトラシリーズに出演されている加藤茂雄さんがいらしてスピーチされているのが嬉しく思いました。

ある人から、中島さんの怪獣演技の確かさは四つ足怪獣でこそ発揮されると聞いてなるほどと思いましたが、70年代以降四つ足怪獣があまり見られなくなった理由のひとつは、中島さんレベルの着ぐるみ俳優がいなくなってしまった事が大きいのかもしれません。ひっくり返って1回転してまた立ち上がるという演技も、中島さん以外ではちょっとお目にかかれません。着ぐるみの芝居はだれかの真似ではなく、自分で考えて創っていったという中島さんの心意気、特撮ファンだけでなく、創り手の方にも読んで欲しい一冊です。ところで中島さんの結婚当時の写真を見ると、奥様は『大魔神カノン』でヒロインを演じていた里久鳴佑果嬢にソックリでちょっと驚きました。


『特撮円谷組 ゴジラと、東宝特撮にかけた青春

東宝ゴジラ会著 洋泉社 ¥2600税別

昭和30~40年代半ば、東宝特撮映画の円谷英二特技監督作品についた特撮スタッフのインタビューをまとめた本。中野、川北両監督から、助手についていたスタッフまで、当時若手だった方も現在では60~70代であり、亡くなられた方も多いだけに非常に貴重な証言集といえるでしょう。クレジットタイトルで名前は知っていてもインタビューを読むのは感慨深く、監督だけでなくこうした人々一人ひとりがいて映画が出来あがるという事を実感させられます。関沢新一さん作詞の代表作『王将』の対になっている歌で、やはり関沢さんが作詞された『歩』に、「♪勝った負けたと騒いでみても 歩のない将棋は負け将棋 世間歩がなきゃ成り立たぬ」という詞があるのですが、正にこの詞を思い起こさせてくれる内容でした。それにしても映画界が斜陽となっていた70年に円谷監督が亡くなられ、この時期を境に人の動きが多かった事に驚かされます。当時の東宝スタッフにとって、円谷監督の存在が物心両面でいかに大きかったかを改めて実感させられました。 

『大映特撮映画大全 大怪獣空想決戦 ガメラ対大魔神』 

  角川書店 ¥1800税別

今年はテレビシリーズ『大魔神カノン』が放映された大映(角川)特撮作品ですが、この本は昨年の『東宝特撮総進撃』(洋泉社)に対抗する様に旧大映から徳間大映時代を経て、角川映画となった現在に至るまでの大映特撮作品を網羅した内容です。各作品一作一作に寄せたライターの方々の文章が読み応えがありますが、特に昭和『ガメラ』シリーズの脚本を手掛けられた高橋二三氏が、『ガメラ対ギャオス』の後、本多猪四郎監督からいただいた年賀状に「機会があったら是非いっしょに仕事をしたいですね」と書き添えてあったというエピソードは、怪獣ファンとしては何とも嬉しいものがありました。お二方は後年『サンダーマスク』に関わっておられますが、確か同じ回で組まれてはいないのがこういうお話を知ると凄く残念に思います。大映作品は東宝、円谷プロ、東映の作品に比べると特に若い世代にとっては知名度はやや劣るかも知れませんが、昭和、平成を通し日本の特撮映画、怪獣映画を語る上で外せない存在であり、大映作品を知る上でこの本はいいテキストと言えるでしょう。


 ところでこの本とは関係ありませんが、大映作品といえば今年は大野雄ニ作曲の『黄金の犬』(79)サントラのCD復刻が嬉しいです。この作品は特撮カットがあるのですが、佐川和夫監督と特撮研究所が手掛けており(『バトルフィーバーJ』と同時期)、本編の助監督は村石宏實氏と、意外なスタッフが関わっていたのです。特撮ものでは東宝か円谷プロの作品が中心の村石監督ですが、アクションものでは東映や大映の作品で助監督が多かったようです。


『ウルトラソフビ超図鑑』

ワールドフォトプレス刊 ¥1524税別
 ウルトラ関係の玩具といえば定番は昔からソフビ製の怪獣人形。 かなり前にはバンダイから86年に発売された『怪獣玩具』という本がありましたが、今回はマルサン・ブルマァクからポピー・バンダイ、昭和から平成の作品までのウルトラヒーローと怪獣のソフビ人形を網羅した内容となっています。

まず冒頭にウルトラシリーズの年表が記載され、作品の歴史と並行して移り変わっていった玩具メーカー、ソフビ人形のリニューアル毎に章分けして各年代の状況が解説されており、ウルトラシリーズの全体像を知る上で初心者にもかなり分かりやすいのではないかという構成となっているのが好感が持てます。ヘッダーや証紙の種類までひとつひとつチェックしているのが心憎く、こういうところも怪獣人形に親しんだ人であれば心の琴線に響くのではないでしょうか。怪獣人形の写真を眺めるだけでも楽しいですが、更に凄いのが『フィギュア王』に連載されていたウルトラ関係者~作品のスタッフ、キャストや玩具開発スタッフのインタビュー記事の再録と、読み物ページの充実振りです。『ウルトラセブン』、『怪奇大作戦』、『ファイヤーマン』の安藤達巳監督や、着ぐるみ俳優の山村哲夫さんと、これまでこうした記事に出る事がなかった方がおり、これはかなり貴重でした。中でも『80』のイケダ隊員役だった岡本八郎(達哉)さんがお元気で役者を続けていらしたのが嬉しかったです。『シャンゼリオン』や『セイザーX』に出演されていたとは気がつきませんでした。(確か、『スクールウォーズ』で梅宮辰夫を刺してしまうチンピラ役が記憶にありますが)。それからティガ、ダイナ、ガイア、ネクサスの雛型写真が掲載されており、完成作品より模様が複雑なティガや、目の隈取が深く赤と青の位置が逆になっているダイナなど、デザインの過程はある程度知っていましたが、立体となった雛型写真は紙の上のデザイン画から立体の着ぐるみに起こされるプロセスの一端を垣間見差せてくれる上で非常に興味深いものがありました。こうした記事も含め、立体ものはいいなあと思わせてくれる内容は、ホビー誌であるフィギュア王ならではでしょう。この値段でこの内容ははっきり言って安いと思います。


『好き勝手 夏木陽介 スタアの時代』

轟夕起夫編著 講談社 ¥1900税別
 特撮本というわけではありませんが、東宝特撮映画や近年では『ギララの逆襲』に出演された俳優・夏木陽介さんの、インタビューを中心とした自伝本。前半では東宝時代の出演作や監督にまつわるエピソードが語られています。夏木さん御本人も相当やんちゃだった様ですが、『太平洋の嵐』の松林宗恵監督、『野盗風の中を走る』の稲垣浩監督、『今日もわれ大空にあり』の古沢憲吾監督、先輩である三船敏郎さんといった、当時の映画人たちの大変な個性の強さ、こういう人達がしのぎを削って作っていたんだからこのころの東宝映画は輝いていたんだなあと感じた次第です。後半は『三大怪獣地球最大の決戦』ののち、俳優業を一旦離れて行川アイランドの経営に関わっていた時期を経てテレビ『青春とはなんだ』で俳優に復帰し、テレビを中心に活動してゆく時代が語られています。この時期のお話はやはり、中島春雄さんの『怪獣人生』同様、昭和30年代から昭和40年代にかけての映画からテレビへの時代の移り変わりが、当時映画の世界で働いていた人達にとっていかに大きな変化だったかをここでも実感させられます。東宝を離れ三船プロ所属になるまでの経緯や、亡くなられた阿知波信介さんが俳優を辞めてマネージャーに付いた経緯や、代表作のひとつ『Gメン75』にまつわるエピソードなど、こちらも興味深い内容です。『Gメン』のお話は以前発売された『刑事マガジン』の時と被るところもありますが、それにしても降板の経緯は何度読んでも凄まじいとしか言い様がありません。


『オタクの逝き方 オレのコレクション死んだらどうなる

BUILTRUNS刊 ¥1429税別
 かくいう私も御多分に漏れずなのですが、この会報を手にされている方で、ご自身の部屋が特撮関係その他のコレクションでかなり占拠されているという方はおそらく大勢いらっしゃるかと思います。もし自分が突然死んでしまったら、これらのコレクションはどうなるのかと考えた事はあるでしょうか。万一の場合に備え、仲間内で形見わけをしてもらうか、家族にはまんだらけのような専門の古書店に売ってお金に替えてもらうか遺言状を書いておくべきなのでしょうが、一応健康に生活を送っている以上、あまりこういう事は考えたくないのでなかなか実行は出来ませんし、何より具体的にどう書けばよいか等もよく分からないのが多くの方にとっては現状です。そうした漠然とした疑問に答えてくれるのがこの本なのです。

マンガを交えて面白おかしいタッチで描かれていますが、笑い事ではないのも確かで、本書では孤独死の事例が紹介されています。仲間内で連絡が取れなくなり、不審に思った自宅を調べて死亡が確認されるまでの困難や、遺品をめぐって様々なトラブルが発生したというのです。かつて我々Gスタッフとしては、仲間であるモゲさんの死に直面した経験がありました。この時形見分けの際は遺族の方と面識があり、法的な問題は全くありませんでした。しかし、件の事例の様に場合によっては遺品のために残された家族や友人が迷惑を被るような事もあり得る訳で、こうした事を考えると大変重大な問題だと思います。遺品を売却するにしても店によって全く買取値は違ってきますし(『東宝特撮映画全史』が古本チェーン店では買取値50円とは…)。コレクションの処置に関する遺言書の書き方や様々な法的処置の方法など、即実行するかどうかは兎も角、予備知識が全くないよりは遥かに安心できるでしょう。そういう意味では、手元に置いておいたほうがいいと言える一冊です。

年末には竹内博さん編集の、円谷英二監督を扱った本や、洋泉社からは『戦艦大和映画大全』も出るそうで、中年特撮ファンとしては財布の心配をしつつ嬉しい限りであります。今年は復刊した『宇宙船』が30周年という事で、記念号では多くのメッセージが寄せられていましたが、メッセージを寄せた現役特撮関係者の中に、学生時代に創刊号より宇宙船を読んでいたという人が何人もいました。出版物を通して先人の作品を語り継ぐ事で、少なからず後の世代に影響を与えていくという意味では、未発表シナリオや関係者の証言が本にまとめられて残る事は大変意義のある事なのではないでしょうか。それだけに今後の特撮本により求められる要素は、かつてのファンタスティック・コレクションのように新たなファンを掘り起こす事ではないかと、かつて掘り起こされた身としては思います。今回紹介したこれらの本を読んで道を踏み外す(^^)若い世代が一人でも多く出てくる事に期待したい所です。

  やはり歴史は繰り返している?ークションに?!
 来年2011年は、日本特撮ファンクラブGが30周年を迎えます。関連づけるというわけではありませんが、この約30年間における特撮ものの人気の移り変わりを見ていると、はっきりサイクルがあるように思います。挙げていくと、 

9年振りのゴジラ新作、'84『ゴジラ』は'54年の『ゴジラ』第1作から30年後。

『ゴジラVS~』シリーズで観客動員がピークだった'92年『ゴジラVSモスラ』は歴代ゴジラ映画で観客動員数のピークだった'62年『  キングコング対ゴジラ』から30年後。

'95年、ゴジラ人気を受けた15年振りのガメラ新作『ガメラ大怪獣空中決戦』は、'65年のガメラ第1作『大怪獣ガメラ』から30年後  。

'96年、ウルトラシリーズでは16年振りのテレビシリーズ新作『ウルトラマンティガ』は、'66年のシリーズ第1作『ウルトラQ』、『  ウルトラマン』から30年後。

'00年、ライダーシリーズでは約10年振りのテレビシリーズ新作『仮面ライダークウガ』は、'71年のシリーズ第1作『仮面ライダー』  から29年後。

'04年、戦隊シリーズで特に人気、内容ともに好調だった『特捜戦隊デカレンジャー』は、'75年の第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』から  29年後。

ゴジラシリーズ完結を謳った'04年『ゴジラ・ファイナルウォーズ』は'75年『メカゴジラの逆襲』から約30年後。

ほぼ同時期の'04年、シリーズでも異色作となった『ウルトラマンネクサス』、'05年『仮面ライダー響鬼』は、やはり異色作だっ'74年 『ウルトラマンレオ』、'74年『仮面ライダーアマゾン』から30年後。

次に来るのは『惑星大戦争』、『宇宙からのメッセージ』の宇宙SFブームだ予想していたら、32年後の今年に公開されるのは実写版宇宙戦 艦ヤマト『SPACE BATTLESHIP ヤマト』。

 と、こういうオチかい!と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、国産特撮メジャータイトルにおける新シリーズのスタートと人気の浮き沈みはほぼ30年前をなぞっている事になるのです。勿論平成『ウルトラ』シリーズのブランク時期や現在の『仮面ライダー』シリーズは10年以上継続して放映されていたりと、必ずしも綺麗に重なる訳ではありませんが、シリーズのスタートと人気のピークという事ではほぼ一致しているといっていいように思います。単純に考えれば昭和の作品を観ていた世代が親もしくは作り手になり、ちょうどその子どもが一番夢中になる時期に重なったという事なのでしょう。

さて気になるのは、これでこの後の30年はどうなるのか。怪獣冬の時代と言われていますが、これまで人気が廃れても何度も盛り返してきたのはリアルタイムで観られなかった世代が旧作に接するか、或いは出版物等を通して観た事のない作品に興味を持つ事で、新しいファン層を作ってきた事でした。30年前と現在とでその辺はどう異なるか、その一つはビデオ、DVDの普及やCS放送の登場による作品そのものを観る環境の変化でしょう。これが今後の特撮怪獣ジャンルの新作製作にどう影響して行くのか?

 私らの60~70年代に子ども時代を送った世代だと、特撮ものは本放送での新作だけでなく、再放送や劇場作品のテレビ放送が常にあり、各社の作品はいわば塊のように供給されていました。一度かかった作品をもう一度観るには再放送なりリバイバルなりを待たなければいけませんでしたが、全く関心がなかった作品でも再放送で接してその魅力に気付きハマッてゆくような事もあり、実際それで人気が出た例はいくつもありました。それに対し現在は、子ども時代から観たいと思う作品をある程度自分で自由に選んで観る事が出来る様になりましたが、地上波での再放送は殆どないため、人によっては関心を持つ機会がなければそのまま全く観ない、知らないままという事もある訳です。若い世代のファンと接していて、旧い作品でも詳しいし判っているなと思う人はいますが、その一方、私らと比べて子ども時代の共通体験ではなくなりつつあるように感じます。デアゴスの東宝特撮DVDが発売されていますが、買っているのは大人が中心で、現在の小学生にはゴジラを知らない子が多いそうです。また、幼稚園ぐらいで「卒業」してしまうと、どんなに夢中になった作品でも小学校5年ぐらいになると内容に付いてはかなり忘れてしまうようです。勿論この世代から例え少数派にせよ特撮・怪獣に興味を持つ子は出てくると思いますが、爆発的な人気は起きにくいでしょう。そういう中からどう特撮・怪獣文化を繋いでゆくか。根深い問題だと思うのでまた機会があれば書こうと思います。

 訃報

成川哲夫さん

1月1日、肺癌のため御逝去。享年65歳。『スペクトルマン(宇宙猿人ゴリ)』放映スタートから丸39年を目前にして、突然のご逝去でした。

 番組としてのスタイルはウルトラシリーズをほぼ踏襲しながら、そのテイストはひと味もふた味も違っていた『スペクトルマン』。その不思議な魅力のひとつは、主人公・蒲生譲二の二枚目半の役柄を演じた成川さんの持ち味によるところが大きかった事は、『スペクトルマン』をご覧になった事のある方ならば御理解いただけると思います。特にスペクトルマンが円谷巨大ヒーローと大きく違うところは、変身後も喋る描写が当たり前にあり、しかもそれがエコーを殆どかけない成川さんの声である事で、そこから来るある種の身近さがあったと思います。『噂の刑事トミーとマツ』に刑事役でレギュラー出演などの後、しばらく消息が判りませんでしたが、99年に発売された自伝をかねた『ピープロ70Sヒーロー列伝(1) スペクトルマン』で、空手の道場を継ぐために俳優を引退し、師範として活躍を続けられている事が判った時は安心しました。当時、同書の発売を記念してのサイン会に参加し御本人に直にお会いして、その精悍さに若い時よりさらに格好よくなったな、ヒーローを演じた人は違うよなと、一緒に行った仲間と話したものです。葬儀に参列した明瀬礼洋君から聞いたのですが、成川さんに空手を習っていた子どもたちが大勢参列しており、今の子どもたちにとっても成川さんは現役のヒーローであり続けたと感じたとの事でした。

慎んでご冥福をお祈り申し上げます。


 池田駿介さん

 6月11日、胃癌のためご逝去。享年70歳。

個人的な話で恐縮ですが、経営されていたたこ焼屋『ゼロワンチェーン』が自宅の近所にあり、親しくさせていただきました。第二次怪獣・変身ブームの時代に子ども時代を過ごした世代としてはこのブームとされる数年間、レギュラーとして『帰ってきたウルトラマン』南猛隊員役、『緊急指令10‐4・10‐10』花形一平役、『キカイダー01』イチロー役、準レギュラー、ゲストとしては『シルバー仮面ジャイアント』、『コンドールマン』、『アステカイザー』等、再放送も含めればほぼ毎週、テレビを通して池田さんと会っていた訳です。その人が近所でお店を開いていて、仕事の行き帰りに普通に挨拶し会話を交わせるというのが何とも不思議であり、嬉しく思ったものでした。特に池田さんと知り合った当時は『10‐4・10‐10』、『コンドールマン』のビデオソフトが発売されたり、対談記事が掲載されたムック本の発売や『帰ってきたウルトラマン』再放送があり、それらを話題に楽しくお話した思い出があります。『帰ってきた~』への御出演は自ら希望してのものだったそうで、ブームの一方で特撮作品への偏見が現在より強かった当時に特撮作品に積極的に出演されていた池田さんの存在は、特撮ファンとして心強いものがありました。また『ゼロワンチェーン』を開いたのはファンとの交流を持つ事が目的の一つだったとの事で、本当に作品も我々ファンも大事にする方だったと思います。お店を閉めてからはお会いする機会がなく、昨年暮のあるイベントで伴大介さんから具合が悪いというお話を聞いて、気がかりではあったのですがこんなに早くお別れがくるとは思ってもいませんでした。6月15日に行なわれたお通夜の席には『キカイダー01』の衣装が飾られていました。そして団次朗さん、西田健さんからの花が添えられ、平山亨プロデューサー、伴大介さん、高野浩幸さん、そして私同様、池田さんと親交があった多くのファンの方々が参列しており、初対面の人もいましたが池田さんを偲んで語り合う事ができました。中には学生の方もおり、池田さの演じられた役が幅広い世代に受け入れられている事を改めて実感する思いでした。作品内でのポジションはそれぞれ違えど、特撮作品では優しい兄貴分という役柄が多かった池田さんは、我々ファンにとっても同じように優しい兄貴でありつづけたと思います。

慎んでご冥福をお祈り申し上げます。


谷啓さん

 9月11日 脳挫傷のため御逝去。享年78歳。

クレージー・キャッツでは「ガチョーン」が有名ですが、楽器を使った音楽コントが素晴らしく、なかなか真似できない芸当でしょう。東宝クレージー映画では頭はいいがちょっと世間とズレているといった役柄の脇役が中心でしたが、主演作『クレージーだよ奇想天外』はSF仕立てで風刺を利かせたストーリーと切ないラストでクレージー映画でも異彩を放つ傑作となりました。他の主演作『空想天国』、『奇々怪々俺は誰だ』も捨てがたい魅力の作品で、未見の方も是非観てほしい作品です。

慎んでご冥福をお祈り申し上げます。


小林桂樹さん

 9月16日、心不全のため御逝去。享年86歳。

日活から大映を経て東宝に移り、『社長』シリーズの秘書役や『裸の大将』に出演されましたが、特撮作品では古くは大映の『虹男』から、何といっも映画、テレビを通して演じた『日本沈没』の田所博士役をはじめ、『連合艦隊』の山本五十六役、84『ゴジラ』の三田村首相役でしょう。一般作品では『江分利満氏の優雅な生活』、『黒い画集 あるサラリーマンの証言』のサラリーマン役が印象に残っています。それに84『ゴジラ』で、核兵器を使用しようとする大国の首脳に対し核兵器の使用を断固拒否した後、官邸に戻り微かに震えているという描写がありました。田所博士のようなエキセントリックな役とはまた対照的でしたが、平均的な日本人の役柄を演じてきた小林さんだからこそ説得力を持った場面になったのではないでしょうか。NGは役者の恥だと、NGを殆ど出さなかったそうで、こうしたエピソードが本当に一流の俳優だった事を物語っていると思います。

慎んでご冥福をお祈り申し上げます。

 

池部良さん

 10月8日、敗血症のためご逝去。享年92歳。

戦前より俳優として長身、二枚目のルックスから注目されましたが、直後に召集され陸軍士官として戦争に参加、復員後東宝に俳優として復帰し、49年『青い山脈』はじめ二枚目スターとして活躍されました。その後は東映『昭和残侠伝』シリーズなど様々な作品に出演されただけでなく、日本映画俳優協会理事長を長年に渡って務め、晩年は文筆家として、大変幅広い活動をされていました。そんな中で東宝特撮作品では、『白夫人の妖恋』、『潜水艦イ-57降伏せず』、『太平洋の嵐』、『青島要塞爆撃命令』、『太平洋の翼』、そして『宇宙大戦争』、『妖星ゴラス』、『惑星大戦争』といった、東宝特撮でも宇宙SFの代表作に出演されています。池部さんというと年齢を感じさせない若々しさで、『青い山脈』では30代で高校生役を演じ、『惑星大戦争』当時も60歳近かったのですが、失礼ながらベテランの共演陣の中でも最年長とは思えない若々しさだったと思います。この人が出ていると画面が引き締まり、何より品がありました。

慎んでご冥福をお祈り申し上げます。

 

大澤哲三さん

10月10日ご逝去。享年63歳。

 特殊美術担当として、主な作品歴は『帰ってきたウルトラマン』、『ミラーマン』、『ジャンボーグA』、『ウルトラマンレオ』、『秘密戦隊ゴレンジャー』、『宇宙からのメッセージ』、『バトルフィーバーJ』、『電子戦隊デンジマン』、『太陽戦隊サンバルカン』、『大戦隊ゴーグルファイブ』、『宇宙刑事ギャバン』、『帝都物語』、『ガンヘッド』、『ゴジラVSビオランテ』、『ゴジラVSキングギドラ』、『ゴジラVSモスラ』、『ウルトラマンティガ』、『超星神グランセイザー』、『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』等多数の作品に参加されました。こうしてタイトルを並べてみても、70年代以降その時代毎に人気の中心となっていた作品の多くに関わられていた事に驚かされます。

円谷プロ作品では、『ミラーマン』のジャンボフェニックスや、アクリル板を使ったインベーダーの透明な宇宙船、ジャンボーグA&9のデザイン等が非常に鮮烈な印象を残しました。また、特に定評があったのはメカの発進基地でしょう。あるインタビューによると、御本人も発進基地のセットについては、飛行シーンがメインであるメカの姿や重量感をじっくり見せる場面として力を入れていたそうです。『宇宙からのメッセージ』や初期戦隊シリーズでは東映特撮に円谷作品のメカ描写の緻密さを持ちこんだ事や、東宝作品では例えばスーバーX2の基地のミニチュアは意外に小さい作りの物で、それまでの大セットを中心とした東宝特撮にはない発想だったなど、フリーのスタッフとして各社の特殊美術に新たな引き出しを加えていった功績はこれからもっと評価していって欲しいと思います。昨年の『ウルトラ銀河伝説』に続き、今度公開の『ウルトラマンゼロ THE MOVIE』に参加されていましたが、一本立ちされた作品であるミラーマン、ジャンボーグAをモチーフにしたミラーナイト、ジャンボットが登場するこの作品が遺作となってしまったのが残念です。デジタル技術が大幅に導入されている昨今であるだけに、ミニチュア特撮を熟知したスタッフとしてこれからもまだまだ活躍してほしい方でした。

慎んでご冥福をお祈り申し上げます。

 今年は特に俳優さんの御逝去が続いてしまいました。特撮作品は着ぐるみやミニチュアによる特撮シーンが見せ場になる訳ですが、その特撮シーンを本物に見せてゆくのは、最後はそれを受ける人間の芝居の部分であり、それはこれからたとえミニチュアがCGになっても変わらないと思います。そうした意味ではどの方も名優だったと思います。読者の皆さん、後進の方々も亡くなられた成川哲夫さん、池田駿介さん、谷啓さん、小林桂樹さん、池部良さん、美術の大澤哲三さんと関わられた作品をどうか忘れないでほしいです。

いろいろあるよ、いろいろね 

今年は昨年と同じくウルトラマン、仮面ライダー、宇宙戦艦ヤマトの映画が公開される年末となります。

『ウルトラマンゼロ THE MOVIE』は、タイトル通り前作で登場したウルトラマンゼロが完全に主役となった作品。昨年の『大怪獣バトル THE MOVIE ウルトラ銀河伝説』はウルトラマンや怪獣は全て着ぐるみで撮影する代わりに、背景が殆どCGという作りで、ウルトラの星や宇宙を舞台にしたかつての内山まもる先生のコミカライズ作品のような内容ならば相応しい手法でしたが、従来のテレビシリーズのような内容だとどうなんだろうという疑問はありました(個人的にはダイナ~アスカのテレビシリーズ終了後の姿が初めて描かれたのは嬉しかったですが)。続編となる今回は、前作の技法を引き継ぎつつ以前のようなセット撮影も復活するようです。なにより注目してしまうのは、ウルトラ以外の円谷ヒーローをモチーフにしたミラーナイト、ジャンボット、グレンファイヤーの登場でしょう。考えてみればメビウスと昭和のウルトラ兄弟の共演、ウルトラ兄弟と平成ウルトラマンの共演と来たので今度はこうくるのかという感もありますが。『大怪獣バトル』は『スターウルフ』、『猿の軍団』、『ボーンフリー』といったウルトラ以外の円谷SF作品の要素が、『仮面ライダーW』は『ロボット刑事』、『マシンマン』といったライダー以外の東映石森ヒーローの要素が入っていたので、こういう傾向はこれからも続くでしょうか。次のウルトラ映画のゲストキャラクターは『トリプルファイター』や『アステカイザー』か?トリプルファイターの場合、例えば3人の等身大ヒーローが合体して巨大ヒーローに変身するというリニューアル設定なら面白そうですが。因みに今回の音楽は『ネクサス』以来の川井憲次氏が担当との事で、これは楽しみです。

『SPACE BATTLESHIP ヤマト』はもう公開まで1ヶ月を切りましたが、いまいちそんな感じがしません。正月に大々的に新聞広告を打ってその後、『宇宙船』、『特撮ニュータイプ』といった特撮雑誌が、キムタクの肖像がらみなのか殆ど取り上げないのが気になります。『ザ☆ウルトラマン』が『アニメージュ』等アニメ雑誌では殆ど取り上げられなかったのと似てなくもないような。予告編で山崎努氏演じる沖田艦長のセリフが「ヤマト、発進せよ!」となっている事に対し「せよ」は要らないだろうと、やはりというかインターネット上で反論が巻き起こっていました。まあ別物と割りきれば些末な事なんですが、こういうところがどうしても気になってしまうのが実写化リメイクの辛いところなのでしょう。

執筆中に西崎義展プロデューサーが事故で亡くなるという知らせがあり驚きました。功罪ある方でしたがいわゆるアニメ文化、オタク文化の原点を作った事は確かだと思います。慎んでご冥福をお祈り申し上げます。

とにもかくにも西崎氏も松本零士氏も関わらない『ヤマト』作品は今回が初めてであり、そうした意味でも非常に気になる作品です。

2010年、テレビの方は仮面ライダー、戦隊シリーズ以外では角川の『大魔神カノン』、『MM9』、『古代少女ドグちゃん』といった作品が登場しました。

『大魔神カノン』は長年企画されてきた、『大魔神』の新作というよりは、東映から角川に移った高寺重徳(成紀)プロデューサーの新作という色あいが強い作品でした。一昨年の『ギララの逆襲』のように作り手の個性を強く打ち出したリメイクという企画自体は悪くなかったものの、どうも一人よがりなところが終始あったように思います。高寺プロデューサー作品は他の作品にはないきめ細かな作りが身上なので、今後の作品があるならどうかその辺の改善を期待したいところです(ところで内容とは関係ないのですが、角川の『特撮ニュータイプ』は自前の特撮作品があるのに何故全く表紙にしないのでしょう)。

 怪獣が頻繁に出現する日本という世界観のもと、怪獣対策を担当する気象庁の専門部署の活動を、平成『ガメラ』の樋口真嗣総監督、伊藤和典脚本のスタッフで描いた『MM9』は、、怪獣そのものを画面に極力出さずに怪獣の出てくる物語を描くという、スキマ的特撮番組。こうした趣向の作品は、テレビでは『やっぱり猫が好き・ブジラ対恩田三姉妹』や『大怪獣東京に現る』がありましたが、深夜の特撮番組としてはもっと早くこういうのが出てきてもよかったと思わせる作品でした。肩に力が入りすぎたのか、一部エピソードの内容(第6話のような変化球的な話自体は悪いとは思わないが、妙に勿体つけた話運びはどうもイライラさせられました)や、女性メンバーがみんなトンガった性格だったりと、気になるところはあったものの、主人公たちは一見醒めているようたが人命に係わる仕事をしているという部分がキッチリ描かれており、伊藤氏が手掛けた『パトレイバー』の持っていた良さが端々に受け継がれているのは好感が持てました。1クールで終わってしまったのが丁度良かったような物足りなかったようなという感じでしたが、もし1年1シーズンぐらいで細く長く続けて行けたらと思います。エンディングタイトルに登場する怪獣のシルエットを手掛けたのが、『ゴジラ』第1作の光学作画から第1期ウルトラシリーズのオープニングでシルエットを描いた飯塚定雄さんなのは嬉しいものがありました。

それにしても劇中のセリフで、戦前から怪獣が日本に出現しており、その当時は軍隊が怪獣に対応していたというのは意外だと思ったのは果たして私だけでしょうか。戦争中や終戦直後は凄く大変だったと思うのですが…。「66年は怪獣出現の当たり年」というセリフが出て来ている事もあり、本格的に怪獣が日本に現れるようになったのは54年前後というか、「核兵器が現れてから」という無意識の解釈がありました。まあ戦前の漫画『のらくろ』には怪獣が出てくる話がある事はあるのですが^^;。

早くも10年過ぎてしまった00年代、特撮界のこの10年間を振りかえると、まず『仮面ライダークウガ』に始まるテレ朝発の平成『仮面ライダー』シリーズが10年以上続いている事が一番大きかった感がありますが、その好影響か、東映や円谷プロ以外の製作会社による特撮番組が出てきた事が実はかなり大きな収穫だった様に思います。勿論、全てが成功した訳ではなかったかも知れませんが、たとえば東宝の「超星神」シリーズが2年9か月続いた事はそれまで東宝の特撮テレビシリーズではなかった事ですし、『リュウケンドー』のように松竹製作の特撮ヒーロー作品やプロダクションIGの『ケータイ捜査官7』は10年前ならなかなか考えられない企画だったのではないでしょうか。『大魔神カノン』の実製作は『リュウケンドー』のドッグシュガー、『MM9』の場合は『超星神』シリーズのゼネラルエンターテインメントと、製作会社それぞれの流れが何とか継続しているのは良い事ですが。特撮番組の新しい枠が生まれてそれが続いて行くのはこれまでの歴史を見ても大変な事で、何にせよこういうところから新しい流れが出てくる可能性を考えると、こういう機会を大事にして欲しいものです。

DVD作品では、80年代のお色気コメディ漫画『Oh!透明人間』が実写映像化、12月3日よりでレンタル開始されますが、注目は右田昌万監督を始め、特技監督に満留浩昌氏、撮影に高橋義仁氏、出演者に大滝明利氏が教師役、星光子氏がおばあさん役(!)と、ウルトラシリーズ関係者が再集結しているのです(星さんは何と入浴シーンもあり!)。他にスタッフで注目したいのは音楽のまついえつこ氏。東京音大で羽田健太郎氏、小六禮次郎氏に師事し、戦隊シリーズの音楽アシスタントから、Vシネマ『バトルキャッツ』、『御茶漬海苔の惨劇館』、テレビアニメ『宮西達也劇場 おまえうまそうだな』の音楽や主題歌を手掛けている若手ですが、今回は40代以上ならばおそらくピンと来る遊び心あふれる主題歌に、劇中音楽はその主題歌のバリエーションという正統派の作りで、なかなか聞かせてくれるのです。10月にプレミア上映会が行なわれましたが、原作を御存知の方ならお判りと思いますが、セクシーな内容ですが全体的に爽やかなタッチなので意外にも?女性客の受けは上々の様でした。しかしもっと意外だったのは主役が『大魔人カノン』で悪役の幸太郎を演じていた標永久(しめぎ えのく)氏だったとは。上映終了後の舞台挨拶まで判りませんでした。

それから年末の作品では、『デスカッパ』を忘れてはいけませんね。ミニチュアセットのスチール写真が何ともソソります。

 ところで今年は、連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』が非常にハマりました。これだけ老若男女オタク一般人を問わず話題になったテレビドラマはそうはないですね^_^特撮ファン的に嬉しかったのは何と言っても平山亨プロデューサーをモデルにした登場人物、風間トオル氏演じる船山プロデューサーの登場でしょう。正確にはテレビ部長の渡辺亮徳氏とミックスした人物ではあるのですが、特撮関係者で、しかも実際にお会いした事がある方がNHK朝ドラの登場人物となるのはおそらく初めてであり、家族に自慢してしまいました

^^;。特撮出演者も多かったですが、太一君がゲキレッドだったとは!『Oh!透明人間』の標氏同様やはりしばらく気が付きませんでした。

2010年も残りわずかとなってしまいましたが、前述のように来年はいよいよ日本特撮ファンクラブG30周年を迎えます。30周年といえば『キングコング対ゴジラ』を製作した当時の東宝と同じ年数になるわけで、何とも感慨深いものがあります。昨今はトークショーを中心とした特撮関係のイベントが結構行なわれており、Gスタッフの黒田が関わっている都内の「戸野廣浩司記念劇場」では東映ヒーロー関係のトークショーが年に何回か、また私は行けませんでしたが、10月には銀座博品館劇場で『ウルトラマン80』のイベントがかなり盛況だった様です。アマチュア主催のトークショーも小規模ながら各所で行なわれているようで、Gもその一翼を担っていけたらと思っています。

 それでは2011年が皆様にとって良い年、良い作品に出会える年でありますように。これからもよろしくお願いします。