2011年 第1号 Vol.163
 
 編集・構成 奥貫 晃

 
 発行人:今井 康了
 発行:日本特撮ファンクラブG
 

 はじめに


 3月11日に発生しました、東日本大震災で被災された方に深くお見舞い申し上げます。

 Gのスタッフは全員、家族も家も無事でした。私の場合は幸い横積みしていた本や棚に置いていたソフビ人形が落ちる程度の被害で済み、また勤務先が近かったのですぐに帰宅できました。しかし地震発生時にいた都内の職場では、落ちて壊れたものもあり、私以外のGスタッフの家では本棚が倒れる被害があったりで、東京に住んでいて、身の危険を感じた地震は今回が初めてだった事も確かでした。それだけに、直接被災された地域のことを思うと言葉がありません。本当に、被害に遭われた方が一日も早く元の暮らしに戻られる事を祈っています。

 宣弘社・日現作品廉価版DVD発売


 『ウルトラQ』カラーライズ版が話題ですが、庶民としては嬉しいのが4月より『シルバー仮面』を皮切りに、’70年代宣弘社製作・日本現代企画製作協力による特撮ヒーロー作品DVDの発売でしょう。『シルバー仮面』、『アイアンキング』に続き秋には『レッドバロン』の発売されました。決してメジャーではないかも知れませんが、本放送で観た世代としては非常に思い入れのある作品群です。テープ時代からすると何度目かのソフト化になりますが、今回のリリースの目玉は何と言っても1巻2000円という低価格です。私事になりますが、就職して初月給で買ったのが『アイアンキング』のビデオソフト(β)で、当時の価格は1巻に3話入って9800~12000円でした。それが数年後に4万円台の全話収録LDボックスなど、数回のソフト化を経て(『シルバー仮面』が特撮番組の全話ボックスのハシリでした)、今回のDVDは前述のビデオソフト1巻分の価格でほぼ全巻買い揃える事ができる訳で、20数年の時の流れを感じずにはいられません。

 今回のソフト化でもう一つの目玉は特典の効果音でしょう。流石にマザーテープからではなく完成作品の音声から起こしたもののようですが、石田サウンドプロ(現・フィズサウンド)による『アイアンキング』、『レッドバロン』の効果音はその後の特撮・アニメーションでかなり多用されているので、商品としてこうして残せる意義は大きいと思います。石田サウンドは同時期には『ガッチャマン』、『ライオン丸』、『レインボーマン』などを担当していましたが、同社が前年手掛けていた『スペクトルマン』に比べると洗練されたというか、この時期に新規に作られた音がずいぶんあると思われます。特に弦太郎がアイアンベルトでロボットを叩く時の金属音「キーン!」は石田サウンドを代表する効果音のひとつとしてかなり印象的でした。一方『レッドバロン』でロボットの足音に使われていた電子音「ポーン」が実は『スペクトルマン』パイロット版ですでに使われたりしていて、効果音はいつ、どの作品で作られたか特定は難しかったりもするのですが。

 人通りのある商店街でシルバー仮面と星人が戦ったり、河原にミニチュアセットが組まれたり、シルバー仮面が墓地の卒塔婆を引っこ抜いて星人を叩いたり、予告編で売りになるのがゲストの女優だったり(『シルバー』6話ゲストの南沙織は劇中で新曲を披露、仮面ライダーなでしこやチームUでもこれはないでしょう)、後にも先にもお目にかかれないような描写があちこちに見られ、初見の方は驚かれるかもしれません。その一方、現代のヒーロー作品に繋がっていく要素も多々見られ、主人公が’60年代までは「大人」か「少年」だったのが、「若者」になっていったのがこの時代で、こうした要素が特に前面に押し出されていたのが『シルバー仮面』、『アイアンキング』でした。ゲストに当時旬の女優が出演していたのもそうした時代の息吹の現れだったと思います。怪獣ものとしては『アイアンキング』における敵キャラクターは、人型ロボットの不知火族、怪獣型ロボットの独立幻野党、巨大昆虫に変身するタイタニアンと、数は少ないながら3つの敵組織毎のモチーフや一体毎の能力がそれぞれはっきりしているのが斬新でした。『レッドバロン』主題歌や音楽のカッコ良さ、弦の字&五郎コンビの掛け合いに代表されるバディもののおもしろさ、東映ヒーローとはまた違った殺陣など様々な魅力を持ったこれらの作品群、レンタルも行なわれており、この機会に多くの人に知ってほしいと思います。

 年末からは円谷作品『ミラーマン』、『ジャンボーグA』、『ファイヤーマン』が東映ビデオよりDVD発売。東映から出るのは『ウルトラマン列伝』にも関わっている東映デジタルラボがらみでしょうか。『ウルトラマンゼロ』にはオマージュキャラクターが登場し、3作とも近年東京MXで再放送がおこなわれ、現在では『ジャンボーグ』再放送中ですが、バラ売りでのソフト化は久しぶりか初めてになりますね。個人的には『緊急指令10‐4・10‐10』全話ソフト化してほしいところです。
 

 追悼・竹内博さん
 
 2011年6月27日、「ファンタスティックコレクション」編集をはじめ国産特撮映画研究の草分け的存在だった竹内博さんが亡くなられました。享年55歳。

  私は、直接面識はありませんでしたが、’70年代後半、前述の「ファンタスティックコレクション」をはじめとする出版物、レコードで起きた第3次ウルトラブームの洗礼を受け、一度は離れていた特撮・怪獣ジャンルへの熱を呼び覚まされ、今もこうして特撮ファンをやっている身としては、言わば大先輩として決して忘れられない方でした。当時、次々と発売されたこれら大人向け特撮関連の出版物やサントラの多くに記されていた「酒井敏夫」なる人物。文面からは特撮・怪獣ジャンルに傾ける並々ならぬ情熱が感じられました。こんな大人もいるのか、一体何者だろう、文面から30~40代ぐらいの人だろうか、と思っていたら『ファンタスティックコレクション・ウルトラマンパート2』で、小学生時代『ウルトラマン』本放送を夢中になって観ていた事、私家版怪獣図鑑を作っていた事が語られ、親近感を覚えた一方、20代前半の若さでこれだけの本を作っていたのかと驚いたものでした。それより以前、’76年の毎日新聞に「円谷プロに住んでいるゴジラ博士」と竹内さんを紹介する記事があり、やがてこの人物が「酒井敏夫」氏である事を知る事になりました。更に遡ると、’71年暮に発売されたケイブンシャの「怪獣怪人大百科」にも関わっていたのです。他の方もすでに指摘されていますが、この本の画期的なところは『ゴジラ』第1作以降、国内の作品に登場した怪獣怪人は製作会社に関係なくほぼ全て網羅していた事も去る事ながら、興味を引いたのはそれまでの怪獣図鑑にはなかった怪獣一体毎の「登場作品」のデータが明記されている事でした。これによって怪獣一体一体のデータだけでなく、それまで横並びに捉えていた過去の怪獣が、いつ、どの映画やテレビの作品に登場したのかという流れを、子どもなりに把握する事ができたのです(私の場合実際には買ってもらえず、持っている友達の家に遊びに行った時に読んでいたのですが…)。現在40代の特撮ファンで同様の方ははたして私だけでしょうか。いずれにせよ、我々は「ファンコレ」以前から竹内さんの「教育」を受けていた訳です。

’70年代半ばに第二次怪獣プームが去り、このままでは怪獣が世間から忘れられ途絶えてしまうという危機感から、同人サークル「怪獣倶楽部」を立ち上げ、これがやがて「ファンコレ」刊行に繋がってゆく訳です。竹内さんが手掛けた出版物は、まずそれまでなら一般の目に触れる事なく埋もれるか棄てられていたかもしれない写真や企画書、台本、宣材といった印刷物、放映リスト、そして音楽テープなど、作品にかかわるあらゆる資料が可能な限り掲載されていました。また、「ファンコレ」で語られた円谷プロの成り立ちや『ウルトラQ』初め各作品の企画にまつわるエピソードは、子ども時代は当然知り得なかった事で、再放送で何度も観た番組でも、世に出るまでこんな過程を経るのかと新たな発見にワクワクして読んだものです。1話ごとのサブタイトル、脚本、監督、特技監督を記載した放映リスト、スタッフリストは、監督や脚本家の作風を理解する第一歩で、それだけでなく他の作品のリストと照らし合わせると人の流れが分かったり、何かしら発見する事がありました。サントラの構成では、古いテープで例え音質は悪くとも再演奏はしない、セリフなど他の音を被せたり、曲の終わりと次の曲の頭を被せるような加工は絶対しない姿勢を明言されていました(他のサントラではこういう演出が度々あり、私自身も不満がありました)。こうした方針はその後の特撮、アニメのサントラにも受け継がれたといっていいでしょう。また、『OSTINATO』や現在放映中の『ウルトラゾーン』など、再演奏による楽曲はその後いくつか出ていますが、オリジナル音源によるサントラの普及がなければこうした企画はもっと困難になっていたと思います。ビジュアル面では、本編のフィルムからのコマ焼き写真の多用による紙面作りは、それまで主流だったスチール写真やイラストにない迫力があり、映像ソフトが普及した現在でも有り難く思います。

 このように、その後の特撮、アニメ等を扱った出版物やサントラの基礎は、竹内さんによって築かれたといっても過言ではないと改めて気付かされます。特撮・怪獣映画好きの大人はそれ以前からいたでしょうが、そうした層に作られた特撮・怪獣を扱った出版物は殆どありませんでした。’70年代以降の作品に対する見解の食い違いはあったかもしれません。しかしこうした特撮映画、怪獣映画を作品として扱った出版物を普及させる事、ご自身の足で集めた取材記事や様々な資料を我々の共有財産とする事で作品研究、平たく言えば作品をより深く理解する基礎を作った事で、それまで低く見られていた国産特撮・怪獣作品をひとつの文化として確立する、言わば道のないところに道を作っていった訳で、その道を自分たちも歩いている事を思うとその功績はこれからも語り継がれていってほしいと思います。自伝本『元祖怪獣少年の日本特撮映画研究四十年』によると、かなり無頼な生き方をされていた様ですが、30代以降は作品そのものより、円谷英二監督を中心に、特撮映画に関わられたスタッフの研究が主な活動になっていたようです。東宝特撮DVD(初版)の解説も手掛けられていました。昨年末刊行された労作『定本・円谷英二』に続き、「宇宙船」等のインタビューを中心にまとめた『特撮をめぐる人々』が8月に刊行されました。その中でも矢島信男監督のインタビューはかなり最近のもので、病身を押しての編集だったことが偲ばれます。
 謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

 放映中!二大ウルトラ番組

 2011年7月からはテレビ東京系で『ウルトラマン列伝』が、10月からはTVK他で『ウルトラゾーン』と、新たなアプローチによるウルトラ関係の新番組がスタートしました。『~列伝』は歴代ウルトラマンの活躍を2週ぐらいに渡って編集で紹介してゆく番組かと思っていたら、多くは本編1エピソードをほぼ丸ごと再放送なのが意外でした。更にビデオ、劇場作品を分割して放映するとは太っ腹というか。ただ、第1回ではアイスラッガーの切断カットに爆発を被せ、あたかも光線技のように加工されている事から考えると、昭和作品の放送はなかなか難しいかも知れません。新作部分としてオープニングとエンディングに入るウルトラマンゼロのコメントが見所といえば見所でしょうか。本数が限られている中でのセレクトとはいえ前後編の後編だけの放映だったり、『ティガ』、『ダイナ』を観た事のない人には楽しみきれないと思われる「うたかたの空夢」を流すのはどうかと思いますが、見方を変えればウルトラシリーズのみならず特撮番組は現在地上波在京キー局での再放送すら殆どないだけにビギナーにとって良き入門番組であって欲しいものです。
 一方の『ウルトラゾーン』、これは一体どんな番組かと思っていたのですが、思わぬ収穫でした。怪獣たちが繰り広げるコント、「不良怪獣ゼットン」、「ヘアサロン マグマ&ババルウ」に代表されるシュールなお笑いバライティかと思いきや、30分間、丘みつ子演じる初老の未亡人とザラブ星人の交流をシリアスに描いた一編「THE LOVE」(このタイトルには最初は気付きませんでした)が入ったのには、予告編などの予備知識がなかっただけに驚かされました。スタッフは以前取り上げた『バカリズムマン対怪人ボーズ』等の住田崇監督や、新作『電人ザボーガー』を手掛けた井口昇監督、『MM9』の田口清隆監督、宮内国郎氏の楽曲を再演奏した音楽製作は『ギララの逆襲』の福田裕彦氏と、実績のあるメンバーを揃えており、タイトル部分の映像と音楽の再現ぶりや、例えば「怪獣マッサージ」のコーナーでは整体士にマッサージを受ける怪獣の向うで黙々と働く他の従業員をさりげなく映したり、「不良怪獣ゼットン」で登場する’80年代風ツッパリ高校生に合わせて女の子は髪型が聖子ちゃんカットだったり、ババルウ星人の声に津田寛治氏ら、意外に豪華なキャスティング(ライダー系が多い)などさり気なく凝った作りで、これが笑いを誘うのです。何よりやっているのはコントでも、会話の内容が怪獣たちの本編での設定を押さえているのが嬉しいです(そういえばグドンとツインテールを出しながらツインテール=女の子の髪型ネタが出てこないとは、円谷プロとしてはこのネタは御法度?)。怪獣ファンとしても楽しめますが、それまで怪獣に興味がなかった人でも、この番組を観ているとゼットンなどは怪獣人形が欲しくなるのではないかと思います。この番組のおかげでもし怪獣人形が売れれば成功といえるのではないでしょうか(意外にバンダイはスポンサーではないんですが)。製作幹事局がTVKのため、放送している局が限られているのが何とも残念です。

 ウルトラ作品の新作は映画やビデオ、『大怪獣バトル』といったミニシリーズなど、何らかの形では毎年作られているものの、本道である本格テレビシリーズに関しては『メビウス』終了以来5年近くのブランクになっています。しかし、過去にもそうしたブランクの時期を『ウルトラファイト』、『ウルトラマンM730』といった番組で繋いできたのもウルトラシリーズの歴史で、『ウルトラゾーン』はそうした流れに新たな切り口を確立しつつあるように思います。『宇宙船』のインタビューによると田口清隆監督は「番組のアプローチはどんどん変えてゆく」と語っており、今後もどんな内容のものが出てくるか予断を許さないようです。現在ウルトラシリーズはハッキリ言って東映作品に人気では後塵を拝しているだけに、これらの番組を通じて広く認知度を増やしていく事にウルトラファンとしては期待したいです。3月には劇場作品『ウルトラマンサーガ』 が公開。AKB48が演じる「チームU」がいろいろと話題になっていますが、なにより地球が舞台となり、ミニチュア特撮が前面に押し出されるのは『8兄弟』以来3年ぶりになり、大変久しぶりに思えます。特に『ダイナ』最終回後のアスカやスーパーGUTSが描かれるとは。リョウが隊長というのは妥当な人選ですな^^;。バット星人が宇宙一のゼットンブリーダー(!)という設定は『帰ってきた~』最終回を観る限りかなり疑問ですが(笑)。特技監督の三池敏夫氏は特撮研究所の所属で、ウルトラシリーズの特技(特撮)監督で同社関係者は矢島信男監督以来でしょうか。特技監督としては『大魔人カノン』がありますが、特殊美術では『ライダー』、『戦隊』、『ガメラ』、『ゴジラ』、『ウルトラ』各シリーズで腕を奮ってこられた方なので、円谷ミニチュア特撮の醍醐味を見せて欲しいものです。一部で物議を醸しているAKBの出演ですが、これまた久しぶりに防衛チームがドラマのメインとなる中で、シリーズのカンフル剤となってくれればと思います。

 放映中!二大東映ヒーロー

 発表時はライダーのデザインや宇宙&学園ドラマの設定、メインの登場人物(仮面ライダー部)の名前が旧シリーズの主人公の名前をもじっていたりと度肝を抜いた『フォーゼ』ですが、フタを開けてみるとなかなか面白いじゃなイカ!という感じの『仮面ライダーフォーゼ』。まあ、当初どんな奇天烈なデザイン、異色な設定のライダーが出てきて、「こんなのライダーじゃない」、「面白いけどライダーじゃない」といった意見が出てきても(『スーパー1』、『BLACK』、『RX』の頃もそういう意見はありました)、次の作品が出る頃にはシリーズの一作として認められてきたのが『仮面ライダー』シリーズの不思議なところで、実際、「剣や銃を武器に使う」、「ライダー同士の戦い」といった要素が、いつの間にか定番になっていますからね。ライダー部のメンバーが揃うまで1クール近く話数をかけましたが、アメリカの学園ドラマかと思うような学園描写の一方で、弦太朗をはじめ仮面ライダー部の仲間が何とも生き生きしており、女性陣、特に弦太朗の初変身で一緒にポーズをとってしまうヒロインの城島ユウキがいいですね(本当ならこういう子が人気投票で票を集めると思うんですが)。先日のエピソードでは、初回で怪人になったのち、登校拒否を起こしている三浦君と、彼を立ち直らせようとする弦太朗が描かれていましたが、なぜ三浦君が登校拒否なのか、それに対して弦太朗がどう行動してどう解決したかがキッチリ描かれており、弦太朗の「学校の生徒全員と友達になる」という、ともすれば嘘臭くなる設定を、2話かける事で説得力の有るものにしている脚本の力は大きいと思います。それと、弦太朗と賢吾、ユウキとの関係は五代雄介と、一条、桜子の関係に似ていたり、ライダー部のメンバーがそろってゆく過程と、アストロスイッチの使い方を会得して行く過程を平行して描いてゆくあたりは『クウガ』に近いように思います。まあ、大文字の初期の傍若無人振りは実は全て父親のせいだったとか、あるいは戦いの場が殆ど学校内や市街地なのに使う武器がミサイルやガトリング砲や火炎放射器といささか過激過ぎるのではとか(ガトリング砲をプールで使ったのには引きました)、引っかかるところがない訳ではないものの、全体的に明るく爽やかな古き良き学園ドラマを受け継いでいるのが観ていて気分がいいです。塚田チーフプロデューサーのこれまでの作品は、『デカレンジャー』では刑事ドラマ、『マジレンジャー』ではホームドラマ、『ゲキレンジャー』では拳法もの、『仮面ライダーW』では探偵ものと、モチーフとなるジャンルに非常にこだわった作りで、今回は特にそうした良さが出ていると思います。現在これだけストレートに学園ものが出来るのは日曜朝のヒーローものだからという気もしますが。

学園内でゾディアーツの事件が起きるのは学園に何か秘密があるらしく、2クール目に入り今後その辺で展開がありそうです。園田先生だけでなく、ギャレン校長もやはり幹部で、天の川学園高校にはあまりロクな教師がいませんな。そもそも弦太朗はなぜ転校してきたのか、親元から通っているのか一人暮しなのか、とにかく彼の素性がこれまで実は全く描かれておらず、これは後々明かされるのか気になります。国家警備機構のエージェント、というのは無いでしょうが(笑)。

『海賊戦隊ゴーカイジャー』

スーパー戦隊35周年゛戦隊版ディケイド゛として、テレビシリーズとしては初めて歴代戦隊が登場する作品となった『ゴーカイジャー』。歴代戦隊変身前のメンバーが話に絡む「レジェンド回」では、初期は控えめだった歴代メンバーの登場が、3人揃った『ハリケンジャー』編辺りからボルテージが上がってきていますね。特にダイレンジャー編では”天火星”亮役の和田圭市氏のアクションが感動もので、前半では中華料理屋の親父さん振りが板に付いていただけによりインパクト大でした。スタッフでも『カーレンジャー』編の浦沢義雄氏、『ジェットマン』編の井上敏樹氏と、オリジナルを手掛けていた脚本家を起用してそれぞれ好編に仕上っていました。『ジェットマン』編はヤラレタ!と思いましたが、『カーレンジャー』編の怪人・ジェラシットの後日談のオチには驚かされました。残り1クールを切りましたが、ジェラシットは再登場しないか楽しみです。

東映ヒーロー作品は現在では『ライダー』、『戦隊』ともにチーフプロデューサーとメイン脚本家が毎作交代するようになっているので 、番組のスタイルは基本的に同じでも一作毎の持ち味はかなり違い、一般ドラマで言えばNHKの朝の連続テレビ小説や大河ドラマに近くなっている様に思います。一作毎の当たりハズレや好き嫌いはありますが、差が出るのは特撮やCG、アクションより脚本と役者で、そういう意味では普通のドラマと同じではないかという気がします。 

 なつかしの想い出~変身サイボーグ1号~変身セット・バードマン          バカボン平野

 どうもバカボン平野です。今回から記事を一部ですが担当する事になりました。よろしくお願いします。第1回は想い出の玩具です。

私は子供の頃から玩具が好きでしたが、特に変身サイボーグ1号やキングワルダー一世シリーズが一番のお気に入りでした。その中の変身セットで゛超人バードマン゛というのがありました。このセットにはバードマンも含め3種類のセットが発売されていました。フィッシュマン、ビートルマン、そしてバードマンです。
小学生の頃、これが欲しくて近所の玩具店に買いに行ったら売り切れていて切なかったものでした。そんな記憶があったので、後にあるイベントで手に入れた時は涙が出そうになるほど嬉しくなりました。変身忍者嵐に似たマスクとサイクロンマークのベルト、全身の色がグレーという大人向けの配色が気に入ってます。今は段ボール箱の中に入れて大切に保管しています。

皆さんの大事な一品は何ですか?探して思い出に浸るのもいいですよ。

(以下、奥貫より)「変身サイボーグ」私も持ってますよ。誕生日プレゼントでした。当時は玩具の中でも高級品でしたねえ。様々なヒーローのスーツに着替えられるのも去る事ながら、ひじや膝を曲げる事ができるギミックが、怪獣人形にはない魅力だったと思います。バードマン、フィッシュマン、ビートルマンも思い出しました。テレビのキャラクター以外にいろいろオリジナルの武器の装備があって、こちらも人気がありました。その中でも比較的重装備がこれでしたね。この3体は怪人っぽいルックスだったような。それが逆に斬新に思った記憶があります。

 訃報 

内山まもるさん

12月1日御逝去。享年62歳。

説明するまでもなく、『帰ってきたウルトラマン』を皮切りに小学館学年誌「小学二年生」を中心に第2期ウルトラシリーズや円谷作品のコミカライズを担当され、漫画の世界でウルトラマン達を活躍させてくれました。以降、少年誌から成年誌まで幅広く活動され、多くのジャンルの作品を残されました。訃報を知ったのは奇しくも「小学三年生」、「小学四年生」が休刊になると報されたのと同じ日でした。

以前にも取り上げましたが、私の場合ちょうど小学校2年生のリアルタイムで『帰ってきた~』に接し、3年生では『10‐4・10‐10』、『ジャンボーグA』、妹が小2の時の『レオ』、翌年の『さよならウルトラ兄弟』と、かなりの作品をリアルタイムで接し、その絵柄にすっかり魅了されました。『レオ』開始時には「内山先生は『帰ってきた~』から小ニでウルトラシリーズを描き続けており、今度の『レオ』もとても張り切っています」という旨の解説がついており、嬉しく思ったのを憶えています。当時の小学館学年誌ではコミカライズの他にも本誌や付録で挿絵を描かれている事があり、そんな時は得した気分でした。そして『さよなら~』終了から数年後、本屋で小学生達がウルトラマンの漫画本を夢中になって読んでいるので手に取ってページをめくると、『さよならウルトラ兄弟』が『ザ・ウルトラマン』と改題されて載っていると知った時の感激は今でも忘れられません。これが竹内博さんが作られた「ファンコレ」とともに、ウルトラシリーズの人気再浮上の起爆剤となっていった訳です。

ウルトラマンを宇宙一カッコ良く描いていたと言っても過言ではない内山さんでしたが、しかしその絵の魅力はカッコイイだけでない「品」の良さにあったと思います。『レオ』終盤から『さよならウルトラ兄弟』以降の作品は地球人がほとんど登場しなくなり、ウルトラマンを中心に物語が展開し、やがて彼らの言動は泣いたり怒ったり次第に人間臭いものになってゆきました。ともすればウルトラシリーズ本来のスタイルから外れた感のある内容となっていった訳ですが、私を含め多くの読者がこれを違和感無く受け入れ、歓迎する事ができた理由の一つは、この洗練され品のある絵柄があったからこそだと思います。

光の国の住人として御出演された近作『ウルトラ銀河伝説』や、『べリアル銀河帝国』はもちろん、その他の平成ウルトラ作品でも内山さんのコミカライズの影響と思しき描写が時折見られたり、成年誌で原作を担当された方が、「子ども時代に読んだウルトラマンを描いていた内山先生と組めることを光栄に思った」と御逝去に際しコメントされていたそうで、影響力の深さを実感します。昨年の『ウルフェス』ではサイン会を開かれましたが、幅広い層のファンと接し、御本人も「漫画家をやっていて良かった」と、大変ご満足されていたそうです。それだけにまだまだお元気でご活躍して欲しい方でした。
 謹んでご冥福をお祈り申し上げます。


石堂淑朗さん

11月1日、膵臓癌のため御逝去。享年79歳。

特撮作品では『マグマ大使』、『怪奇大作戦』、『シルバー仮面』、TV版『日本沈没』、『帰ってきたウルトラマン』から『ウルトラマン80』までのウルトラシリーズに参加。ウルトラシリーズに妖怪に近い出自の怪獣を登場させるなど、土着的作風は第1期とは一線を画すものでした。個人の意思が怪獣を呼び寄せるというストーリーがいくつかあり、『マグマ大使』の海坊主・カニックス編は子ども心に印象に残るエピソードでしたが、後に石堂さんの脚本と知り合点がいったものでした。また、ウルトラヒーローがあっさりと五体バラバラにされたり、首をはねられる描写があったり、言動が三下ヤクザ並の敵宇宙人、いわゆる「三流星人」の登場など、それまでの作家にはなかった視点の物語で、第2期ウルトラシリーズ独特の作風の一端を担った一人と言えるでしょう。その一方、「白い兎は悪い奴!」や『80』最終回などはウルトラシリーズの根本に関わる題材のエピソードであり、やはりウルトラシリーズの歴史に大きな足跡を残した作家でした。

『タロウ』24、25話の前後編では前編で石堂さんが俳優として岩森家の父親役で、後編でウルトラの星の歴史が内山さんのイラストで描かれるという゛共演゛を果たており、お二方がこの時期のウルトラシリーズで大きな役割を果たしていたことを物語っていたように思います。

 慎んでご冥福をお祈り申し上げます。


市川森一さん

12月10日、肺癌のため御逝去。享年70歳。

9月にTBSで放映された、なつかしドラマを扱ったスペシャル番組に出演された時はお元気だったので大変ショックです。

『快獣ブースカ』、『ウルトラ』シリーズ、『コメットさん』、『怪奇大作戦』、『シルバー仮面』、『好き!すき!!魔女先生』等の特撮作品のみならず、『刑事くん』、『太陽にほえろ!』『傷だらけの天使』、『黄金の日々』、『面影橋・夢いちりん』等など、大変心に残るドラマを多く手掛けてこられ、脚本家の存在を意識するようになった一人でした。同じような方はおそらく私だけではないでしょう。『傷だらけの天使』当時の若手脚本家にとっては憧れの存在だったそうです。個人的には、『ウルトラセブン』ではクラタ隊長編を書き、『太陽にほえろ!』では鮫さん編を書いていることを知った時は、異なるジャンルでも同じ趣向の話を書かれているのかと大きな発見でした。初期の段階のみ関わった『仮面ライダー』の有名なオープニングナレーションの一節「仮面ライダーは人間の”自由”のためにショッカーと戦うのだ」は、市川さんの「”正義”という言葉は使いたくない。正義のためにというのはどんな悪い奴だって言いますよ。」という意見が反映されてできたそうです。ヒーローもので「正義」という言葉を否定するとはかなり意表を突くようですが、さまざまな現実を考えると実は至極当たり前の事で、こうした当たり前だけれどもともすれば見失ってしまいがちな、鋭い目線に支えられたドラマ作りが、これだけ心に残る作品を残されたのだと思います。
 謹んでご冥福をお祈り申し上げます。


内田有作さん

12月8日、大腸癌のため御逝去。享年77歳。

直接お名前が出る機会はあまりありませんでしたが、東映生田スタジオの所長として、ストのために大泉の撮影所が使えなかった『仮面ライダー』製作に尽力された方でした。『仮面ライダー』のみならず’70年代の東映キャラクター作品の多くは生田スタジオで撮影されていた事を思うと、現在に至るまでほぼ切れ目なく続いている東映ヒーローの歴史にとって大きな功労者と言っていい方だと思います。
 謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

 おわりに 

 30周年となった2011年ですが、諸般の事情により活動が滞ってしまい、久しぶりの会報となってしまった事をお詫び申し上げます。恒例の『緯度G大作戦』も年内の開催は見送りとなってしまいましたが、次回の『緯度G大作戦』の日程が決まりました!

2012年3月11日日曜日 場所は例年通りみどりコミュニティセンターです。

 11月に中野昭慶監督の喜寿祝をGで行なったのですが、監督は大変お元気で、こちらが元気付けられてしまいました。監督に比べれば我々は若造、まだまだ頑張らねばと感じました。そんな訳でこれからも日本特撮ファンクラブGをよろしくお願いします。