2012年 第1号 Vol.164
 
 編集・構成 奥貫 晃

 
 発行人:今井 康了
 発行:日本特撮ファンクラブG
 

 はじめに(「日本特撮ファンクラブG」事務局より)


 
早いもので、東日本大震災から1年がたちました。 昨年ほどではないものの、未だ余震も続いており、なかなか安心できない日々が続いております。 また、この数年例を見ない大雪による災害なども発生し、被災地域の一日も早い復興をお祈りいたします。 
 日本特撮ファンクラブGも震災の影響等で、昨年開催を見送っていた「緯度G大作戦」を、3月11日に無事開催することができました。 ご参加いただいた方から、「昨年、開催されなかったからた、もう無くなってしまったのかと心配した」「今年、開催されるのを聞いて嬉しかった」など、多くのご心配や励ましの声を頂戴しました。 当、「G会報」の発行も滞っており、皆様にはご心配をおかけしてしまい申し訳ありませんでした。 今後は、発行ペース改善に努めて行きますので、引き続きの応援をよろしくお願いいたします。


 好調!東映ヒーロー


  『仮面ライダーフォーゼ』劇場版、ご覧になりましたか?率直に申し上げて凄く面白かったと思います。実はこのところ仮面ライダーの劇場版はあまり観ておらず、『W』、『オーズ』、『フォーゼ』の劇場版というからそれぞれ別な作品をやるのかぐらいの予備知識でした。それがいざ観てみると、7人ライダー~オーズ~W~フォーゼと、それぞれ別な話を展開し、やがてひとつの話にまとまってゆくという、『クレージー黄金作戦』ばりの構成で驚かされました。ひとつひとつの話がキッチリ盛り上がり、なおかつクライマックスもキッチリ盛り上がるカタルシス。『W』以降のライダーはそれぞれ特定の街や学園と舞台を限定した設定ですが、これも背景の異なる3人の仮面ライダーを無理なく共演させるのにプラスになっていたと思います。『仮面ライダー』劇場版は全部観ている訳ではありませんが、ここまでストーリー、アクション共にレベルが高く噛み合っている作品はそうはないのではないでしょうか。
 
他のシリーズでもこれだけの作品はそうは出ないと思っていたら、続く『ゴーカイジャーVSギャバン』も面白いではありませんか。意外な組み合わせではありますが、マーベラスとギャバンとの過去の接点を軸に『ゴーカイジャー』劇場版としても、『ギャバン』後日談としても成り立つ内容になっていたと思います。何より大葉健二氏が30年経ってもまだまだアクションをこなしているのは流石でした。こういうタイプのヒーロー役者は見なくなって久しいだけに、当時を知らない世代には斬新に映ったのではないでしょうか。ドルギランがフルCGだったり、佐野史郎氏が演じたウィーバル総裁はせっかく上原正三氏から名前をもらっているのだから本物としての活躍シーンがあっても良かったのでは等、欲を言えばという箇所はありましたが、牢獄での思わぬ再登場キャラクターや、天の声が一部客席でウケた^_^曙四郎、青梅大五郎との揃い踏みといったお遊びも盛り沢山で、大作という訳ではありませんでしたが上映時間の間充分楽しませていただきました。1200円という一般料金も嬉しかったですねf^_^;

 さて、テレビシリーズに目を移すと、『フォーゼ』は相変わらず面白いです。2クール目よりメテオこと朔田が登場しました。ライダー部の面々を内心醒めた目で見つつ、親友を救うためライダーとして戦っている故、弦太朗と喧嘩して自棄になる賢吾には真剣に意見する熱さもあったりと、にぎやかなノリの一方で、登場人物の様々な部分を描く細やかさは本作の良さのひとつだと思います。特にフォーゼと戦おうとするメテオに友子が「仮面ライダーは人知れず悪と戦う正義のヒーロー」と止めに入り、それに対しメテオが「正義は人それぞれだ」と返すくだりは『フォーゼ』、いや仮面ライダーシリーズ屈指の名シーンと言ってよく、グッときた方も多かったのではないでしょうか(その友子と朔田が最近接近しつつあるのが可笑しいのですが)。また、メテオは仮面ライダーでは珍しい「正体を隠すヒーロー」なのが毎回の見所のひとつになっていて、朔田が正体を知られまいと必死で三枚目を演じる、この手の設定では定番なシーンがあったりします。しかし戦闘シーンではフォーゼが幹部と、メテオは怪人と戦いこれを倒すという、二人ヒーローのカッコ良さを押さえており、変身前も変身後も弦太朗~フォーゼとは被らせず、2人目のライダーとしてはかなり上手い配置になっているのではないでしょうか。
 
一方気になっていたのが、進学が決まった3年生の大文字と美羽の4月以降の去就でしたが、25~26話では二人の卒業を描くエピソードとなりました。現実的に考えれば3年生なのだから卒業なのですが、オープニングの扱いやネーミングからするとライダー部は最終回まで現在のメンバーでゆくイメージがあったので、二人が番組からいなくなるのは考えにくく思えたのです。かつての『スケバン刑事Ⅲ』風間結花のようにまさかの留年かと考えていたら、無事卒業となりそうではありますね。そうなると二人はOB、OGとしてライダー部に関わっていき、新入部員には筑波洋や村雨良をもじった名前の生徒が登場するのでしょうか。卒業話の後は八名信夫氏を祖父役に弦太朗の素性が明かされる話のようで、今後も楽しみです。
 
戦隊は『ゴーカイジャー』が無事終了しました。なかなか盛り上がった終盤でしたが、レジェンド戦士の登場もさる事ながらラスト前のエピソードで、過去のサブレギュラーだった人々の登場が、「ザンギャックの攻撃にもくじけない地球人」に説得力を与えていたと思います。残りのレジェンド戦士の出番も駆け足ではありましたが、それぞれの主題歌の一節を台詞に盛り込む手法は、短い出番を印象深いものにするには正解だったのではないでしょうか。歴代戦隊ゲストの部分を差し引いて、「海賊戦隊」としても相応しい終わり方だったかと思います。何はともあれお祭り作として1年間楽しませていただきました。
 そしてスタートした『ゴーバスターズ』。戦隊というより何となく『ウインスペクター』や『ブルースワット』など'90年代メタルヒーローを彷彿とさせる雰囲気で、一転して渋めの作品となりそうです。特に目を引くのはビル街の巨大ロボ戦で、ミニチュアワークは近年の作品でもかなりのハイレベルでしょう。人数が減った代わりに着ぐるみのキャラクターがレギュラーなのは『ゲキレンジャー』、巨大ロボ中心の戦闘は『バイオマン』だったり、ブルーが20代後半ですが以前のレッド役には30代もいた等、新しい事をやっているようで実は多くは既にやっている事ではあるのですが、『ゴーカイジャー』の後番組ですからこれぐらいの方向転換はあっていいと思います。ただ、視聴率が『ゴーカイジャー』の5~6%から3%台とかなり下がっているそうなのは気掛かりです。異色作というか、戦隊の場合あまりスマートだと大人には受けても子どもには食いつきにくいかと考えさせられます。

 最後に、東映ヒーロー作品を支えて来られた監督の小笠原猛さん、音響効果の阿部作二さんのご冥福を慎んでお祈り申し上げます。

 『ウルトラQ』カラーライズ版が話題ですが、庶民としては嬉しいのが4月より『シルバー仮面』を皮切りに、’70年代宣弘社製作・日本現代企画製作協力による特撮ヒーロー作品DVDの発売でしょう。『シルバー仮面』、『アイアンキング』に続き秋には『レッドバロン』の発売されました。決してメジャーではないかも知れませんが、本放送で観た世代としては非常に思い入れのある作品群です。テープ時代からすると何度目かのソフト化になりますが、今回のリリースの目玉は何と言っても1巻2000円という低価格です。私事になりますが、就職して初月給で買ったのが『アイアンキング』のビデオソフト(β)で、当時の価格は1巻に3話入って9800~12000円でした。それが数年後に4万円台の全話収録LDボックスなど、数回のソフト化を経て(『シルバー仮面』が特撮番組の全話ボックスのハシリでした)、今回のDVDは前述のビデオソフト1巻分の価格でほぼ全巻買い揃える事ができる訳で、20数年の時の流れを感じずにはいられません。

 今回のソフト化でもう一つの目玉は特典の効果音でしょう。流石にマザーテープからではなく完成作品の音声から起こしたもののようですが、石田サウンドプロ(現・フィズサウンド)による『アイアンキング』、『レッドバロン』の効果音はその後の特撮・アニメーションでかなり多用されているので、商品としてこうして残せる意義は大きいと思います。石田サウンドは同時期には『ガッチャマン』、『ライオン丸』、『レインボーマン』などを担当していましたが、同社が前年手掛けていた『スペクトルマン』に比べると洗練されたというか、この時期に新規に作られた音がずいぶんあると思われます。特に弦太郎がアイアンベルトでロボットを叩く時の金属音「キーン!」は石田サウンドを代表する効果音のひとつとしてかなり印象的でした。一方『レッドバロン』でロボットの足音に使われていた電子音「ポーン」が実は『スペクトルマン』パイロット版ですでに使われたりしていて、効果音はいつ、どの作品で作られたか特定は難しかったりもするのですが。

 人通りのある商店街でシルバー仮面と星人が戦ったり、河原にミニチュアセットが組まれたり、シルバー仮面が墓地の卒塔婆を引っこ抜いて星人を叩いたり、予告編で売りになるのがゲストの女優だったり(『シルバー』6話ゲストの南沙織は劇中で新曲を披露、仮面ライダーなでしこやチームUでもこれはないでしょう)、後にも先にもお目にかかれないような描写があちこちに見られ、初見の方は驚かれるかもしれません。その一方、現代のヒーロー作品に繋がっていく要素も多々見られ、主人公が’60年代までは「大人」か「少年」だったのが、「若者」になっていったのがこの時代で、こうした要素が特に前面に押し出されていたのが『シルバー仮面』、『アイアンキング』でした。ゲストに当時旬の女優が出演していたのもそうした時代の息吹の現れだったと思います。怪獣ものとしては『アイアンキング』における敵キャラクターは、人型ロボットの不知火族、怪獣型ロボットの独立幻野党、巨大昆虫に変身するタイタニアンと、数は少ないながら3つの敵組織毎のモチーフや一体毎の能力がそれぞれはっきりしているのが斬新でした。『レッドバロン』主題歌や音楽のカッコ良さ、弦の字&五郎コンビの掛け合いに代表されるバディもののおもしろさ、東映ヒーローとはまた違った殺陣など様々な魅力を持ったこれらの作品群、レンタルも行なわれており、この機会に多くの人に知ってほしいと思います。

 年末からは円谷作品『ミラーマン』、『ジャンボーグA』、『ファイヤーマン』が東映ビデオよりDVD発売。東映から出るのは『ウルトラマン列伝』にも関わっている東映デジタルラボがらみでしょうか。『ウルトラマンゼロ』にはオマージュキャラクターが登場し、3作とも近年東京MXで再放送がおこなわれ、現在では『ジャンボーグ』再放送中ですが、バラ売りでのソフト化は久しぶりか初めてになりますね。個人的には『緊急指令10-4-10-10』全話ソフト化してほしいところです。
 

 『戸野広浩司外伝「トノ、何がしたいんだ?」』公演無事終了
 
 2月17日~19日、東京・西日暮里の戸野廣浩司記念劇場にて、『戸野広浩司外伝「トノ、何がしたいんだ?」』が上演されました。戸野広浩司の死により、残された人々を描く本作の脚本、演出は、同劇場を作った平山陽さん。VOL.159でも書きましたが、『ライオン丸』のタイガージョーこと虎錠之介役で脚光を浴びながら、若くして亡くなられた戸野広浩司さんの魂を受け継ぐべくその名前を冠した劇場を作った平山さんとしては、いつかは上演する芝居だったと言えるでしょう。

内容は――
「トノ」こと俳優の戸野広浩司が、出演番組の地方ロケ先で亡くなった。結婚を間近に控えていた婚約者のキク、ロケに出る前夜まで共に呑んでいた親友のテツ、劇団の仲間たち、講師、マネージャー、そして両親、トノをとりまく人々は知らせを受け悲しみと喪失感に打ちのめされていた。劇団では役者なりのやり方でトノを弔おうと、追悼公演を行う事になる。脚本はトノと同期の研究生・錠介に委ねられるが、錠介はどんな脚本を書いたらいいのか判らず悩む。一方、同じく同期のオッチャンも、トノの代役の話を受け、周囲からも薦められながら拒み続けていた。そんな二人を講師は、トノという大きな壁にぶつかっていると指摘する。やがて錠介は、トノのこれまでの足跡を辿れば彼の魂に触れられるのではと、テツと共にトノの故郷を訪れる。そしてなにかを得た錠介は、追悼公演の芝居は戸野広浩司の生涯を描き、そして自らが戸野広の役を演じる事を決心する。
というストーリー。
 戸野広さんが亡くなって残された人々の思いを、虚実織り交ぜて描いた物語で、覚悟はしていましたが、一緒に観た友人共々見終わってしばらく席を離れる事が出来ませんでした。実際に登場人物のモデルとなった、婚約者の方と「劇団青俳」で仲間だった方々が観に来られたそうですが、感無量だった事と思います。特にテツのモデルである狭間鉄さんは戸野広さんの父親役で出演され、劇中でテツと絡む場面もありました。狭間さんは『ライオン丸』ではドクロ三兄弟の1人を演じていましたが、戸野広さんが亡くなった直後には錠之介の後ろ姿の代役を数カット演じているそうで、そのエピソードも盛り込まれていました。
 特撮ファンとして注目したいのは出演者で、まず主役の錠介を演じた柿本光太郎君は『仮面ライダーBLACK』、『~RX』でお馴染みの倉田てつを氏の御子息。ルックスだけでなく声や立ち振る舞いまでお父さんそっくりで、現在は高校生だそうですが近い将来ヒーロー役を演じるのではと期待してしまう雰囲気がありました。
二代目タイガージョーを演じた福島資剛さんがモデルであるオッチャン役の森川拓也さんは、『超人機メタルダー』剣流星役の妹尾青洸(洸)氏が現在主宰する「ゲキ塾。」の所属で、同塾からは他にも何人か出演者がおりました。『BLACK』と『メタルダー』共に'87年の作品ですが、個人的には既に社会人になってからの作品で、主役を演じた自分より年下か同世代のヒーロー役者さんの子どもや弟子が活躍されているのは、年月の流れを実感させられます。考えてみればもう四半世紀前(!)ですからね。40年目の追悼公演という事で今後再演があるかどうかはわかりませんが、お客さんや若い世代の役者さんたちが、戸野広浩司さんの事を深く知り、語り継いでゆけたなら、本作を上演した意義は大きいのではないかと思います。そうした意味でも個人的には再演してほしいです。

 放映中!二大ウルトラ番組

 2011年7月からはテレビ東京系で『ウルトラマン列伝』が、10月からはTVK他で『ウルトラゾーン』と、新たなアプローチによるウルトラ関係の新番組がスタートしました。『~列伝』は歴代ウルトラマンの活躍を2週ぐらいに渡って編集で紹介してゆく番組かと思っていたら、多くは本編1エピソードをほぼ丸ごと再放送なのが意外でした。更にビデオ、劇場作品を分割して放映するとは太っ腹というか。ただ、第1回ではアイスラッガーの切断カットに爆発を被せ、あたかも光線技のように加工されている事から考えると、昭和作品の放送はなかなか難しいかも知れません。新作部分としてオープニングとエンディングに入るウルトラマンゼロのコメントが見所といえば見所でしょうか。本数が限られている中でのセレクトとはいえ前後編の後編だけの放映だったり、『ティガ』、『ダイナ』を観た事のない人には楽しみきれないと思われる「うたかたの空夢」を流すのはどうかと思いますが、見方を変えればウルトラシリーズのみならず特撮番組は現在地上波在京キー局での再放送すら殆どないだけにビギナーにとって良き入門番組であって欲しいものです。

 一方の『ウルトラゾーン』、これは一体どんな番組かと思っていたのですが、思わぬ収穫でした。怪獣たちが繰り広げるコント、「不良怪獣ゼットン」、「ヘアサロン マグマ&ババルウ」に代表されるシュールなお笑いバライティかと思いきや、30分間、丘みつ子演じる初老の未亡人とザラブ星人の交流をシリアスに描いた一編「THE LOVE」(このタイトルには最初は気付きませんでした)が入ったのには、予告編などの予備知識がなかっただけに驚かされました。スタッフは以前取り上げた『バカリズムマン対怪人ボーズ』等の住田崇監督や、新作『電人ザボーガー』を手掛けた井口昇監督、『MM9』の田口清隆監督、宮内国郎氏の楽曲を再演奏した音楽製作は『ギララの逆襲』の福田裕彦氏と、実績のあるメンバーを揃えており、タイトル部分の映像と音楽の再現ぶりや、例えば「怪獣マッサージ」のコーナーでは整体士にマッサージを受ける怪獣の向うで黙々と働く他の従業員をさりげなく映したり、「不良怪獣ゼットン」で登場する’80年代風ツッパリ高校生に合わせて女の子は髪型が聖子ちゃんカットだったり、ババルウ星人の声に津田寛治氏ら、意外に豪華なキャスティング(ライダー系が多い)などさり気なく凝った作りで、これが笑いを誘うのです。何よりやっているのはコントでも、会話の内容が怪獣たちの本編での設定を押さえているのが嬉しいです(そういえばグドンとツインテールを出しながらツインテール=女の子の髪型ネタが出てこないとは、円谷プロとしてはこのネタは御法度?)。怪獣ファンとしても楽しめますが、それまで怪獣に興味がなかった人でも、この番組を観ているとゼットンなどは怪獣人形が欲しくなるのではないかと思います。この番組のおかげでもし怪獣人形が売れれば成功といえるのではないでしょうか(意外にバンダイはスポンサーではないんですが)。製作幹事局がTVKのため、放送している局が限られているのが何とも残念です。

 ウルトラ作品の新作は映画やビデオ、『大怪獣バトル』といったミニシリーズなど、何らかの形では毎年作られているものの、本道である本格テレビシリーズに関しては『メビウス』終了以来5年近くのブランクになっています。しかし、過去にもそうしたブランクの時期を『ウルトラファイト』、『ウルトラマンM730』といった番組で繋いできたのもウルトラシリーズの歴史で、『ウルトラゾーン』はそうした流れに新たな切り口を確立しつつあるように思います。『宇宙船』のインタビューによると田口清隆監督は「番組のアプローチはどんどん変えてゆく」と語っており、今後もどんな内容のものが出てくるか予断を許さないようです。現在ウルトラシリーズはハッキリ言って東映作品に人気では後塵を拝しているだけに、これらの番組を通じて広く認知度を増やしていく事にウルトラファンとしては期待したいです。3月には劇場作品『ウルトラマンサーガ』 が公開。AKB48が演じる「チームU」がいろいろと話題になっていますが、なにより地球が舞台となり、ミニチュア特撮が前面に押し出されるのは『8兄弟』以来3年ぶりになり、大変久しぶりに思えます。特に『ダイナ』最終回後のアスカやスーパーGUTSが描かれるとは。リョウが隊長というのは妥当な人選ですな^^;。バット星人が宇宙一のゼットンブリーダー(!)という設定は『帰ってきた~』最終回を観る限りかなり疑問ですが(笑)。特技監督の三池敏夫氏は特撮研究所の所属で、ウルトラシリーズの特技(特撮)監督で同社関係者は矢島信男監督以来でしょうか。特技監督としては『大魔人カノン』がありますが、特殊美術では『ライダー』、『戦隊』、『ガメラ』、『ゴジラ』、『ウルトラ』各シリーズで腕を奮ってこられた方なので、円谷ミニチュア特撮の醍醐味を見せて欲しいものです。一部で物議を醸しているAKBの出演ですが、これまた久しぶりに防衛チームがドラマのメインとなる中で、シリーズのカンフル剤となってくれればと思います。

  井上泰幸さん御逝去

 去る2月19日、井上泰幸さんが亡くなられました。享年89歳。

 御高齢とはいえ今年に入り『特撮映画美術監督 井上泰幸』が出版され、記念のサイン会が行われたばかりだったので驚きました。言うまでもなく、円谷英二監督作品では『ゴジラ』('54)より渡辺明氏の助手を経た後、特殊美術監督として『サンダ対ガイラ』、『緯度0大作戦』、円谷監督没後は『日本沈没』、『連合艦隊』、『ゴジラ』('84)等に携わり、東宝特撮映画の美術を支えた方として忘れてはいけない方でした。井上さんの作品で特に思い浮かぶのはメーサー車やα号のシルバーメタリックのカラーリングでしょう。この色はアニメやCGでは今のところ表現できない、ミニチュア特撮ならではの色であり、デザインも相まって東宝特撮・円谷組の最も脂の乗っていた時期を象徴していたように思います。『連合艦隊』や『ゴジラ』('84)における大掛かりかつ精密なミニチュアワークも、東宝特撮ここにありとミニチュア特撮の醍醐味を実感させてくれました。また、'70年代にアルファ企画を起こされてからは各社でミニチュアの造形に携わった功績も大きかったと思います。

 インタビューで印象的だったのは、撮影中、円谷英二監督とぶつかる事もしばしばあったというお話でした。ものを作っていく上で当然な事かも知れませんがそうした中からあの名作、名場面が生み出されたのだという事を考えさせられました。
 慎んでご冥福をお祈り申し上げます。

 おわりに

 今回は短い会報となってしまいました。 これまで発行ペースが遅れがちでしたが、今後改善したいと思います。
3月で花粉症や天候が不安定な日が続いておりますが、お互い身体には気をつけましょう。 それではまた近い内にお会いしましょう。