2015年 第3号 Vol.174
 
 編集・構成 奥貫 晃

 
 発行人:今井 康了
 発行:日本特撮ファンクラブG
 

 はじめに

 G会報でプロ野球の自分の贔屓(ひいき)チームの優勝記事を書くのはいつ以来でしょうかf^_^;10月2日、ヤクルトスワローズが14年ぶりのリーグ優勝を決めました。9月末にマジック3が点灯しアレヨアレヨの優勝で、正直、9月初めの時点でこの日が来るとは思いませんでした。クライマックスシリーズで巨人を下し出場した日本シリーズでは残念ながらホークスに1勝4敗で敗けてしまいましたが、やはり14年ぶりの優勝だった'92年がそうであったように、来年への糧になってほしいものです。ホークスファンの方は2年連続日本一おめでとうございます。

  宣弘社フォトニクル 宣弘社&日本現代企画・特撮GRATEST HITS

  8月、9月と宣弘社、日本現代企画の作品を扱ったCD+DVDソフトと図録集がそれぞれ発売されました。前者は『光速エスパー』から『マッハバロン』まで、両社が関わった特撮作品の主題歌を集めたCDと関係者インタビューにオープニング、エンディング映像を収録したDVDの計2枚組、後者は宣弘社(宣弘社プロダクション)が製作してきたテレビ番組や、本業である広告に関する資料を、関係者インタビューを中心に図録とDVDをに収めた内容となっています。 テレビ草創期、ヒーロー番組としてだけでなくテレビドラマとしても国産第1号となった『月光仮面』をはじめ、'50~'60年代は『快傑ハリマオ』、『遊星王子』、『隠密剣士』、『光速エスパー』、そして'70年代には円谷プロ出身のスタッフによる日本現代企画の製作協力で『シルバー仮面』、『アイアンキング』、『レッドバロン』を世に送り出し(『マッハバロン』は日本現代企画の自社製作)。広告代理店としては第1期ウルトラシリーズや『怪奇大作戦』を含むタケダアワーや『サザエさん』に関わっており、テレビ界、特撮界でも大きな足跡を残しながら、会社について深く掘り下げられる機会は意外にあまりありませんでした。 それぞれDVDには故人も含めた関係者インタビュー、各作品のオープニング、エンディング集と、かなりの分量の映像が収録されていますが、個人的に注目は両者のDVDに収録されている、音響効果を手掛けた小森護雄、伊藤克己両氏のインタビューです。お二方を含めた音響効果スタッフのインタビューやプロフィール紹介は最近になって比較的出るようになったものの、昭和期の関係者に関してはまだまだ不明な方が多かったので大きな収穫と言えるのではないでしょうか。小森氏の音は東宝効果音と被っているので東宝と関わりがあったのかと思っていたのですが、実は直接の接点はなかったというのは意外でした。宣弘社で関わった作品が『シルバー仮面』と助手時代の『隠密剣士』ぐらいなので、インタビューの半分以上はウルトラシリーズや実相寺監督作品で、これは出版がデジタルウルトラプロジェクトなのが大きいかと思います。 一方、伊藤克己氏は『光速エスパー』、『バロン』シリーズ、『闘え!ドラゴン』、『7人のリブ』と、宣弘社作品は多く担当されており、特に同時期に『レインボーマン』等いくつか作品と掛け持ちしていた『バロン』シリーズに関しては、これだけはいつもダビングに遅刻してしまっていたというエピソードが印象的で、同シリーズの効果音はその後の特撮、ロボットアニメで多用されていますが、いかに手間がかかっていたかを物語っていました。 調布に自社スタジオがあったり、『エスパー』の撮影は大蔵映画のスタジオ(旧・東宝第3撮影所→新東宝第2撮影所、現・オークラランド)で行われていたなど、意外に知りませんでした。また音楽の小川寛興氏のインタビュー中で、『恐怖のミイラ』テーマでスキャットを担当されていたのが川島さんという方だったとの話があり、もしかして『宇宙戦艦ヤマト』の川島和子さんらしいのが気になります。 宣弘社関係のスタッフは監督の船床定男氏(『マグマ大使』)、外山徹氏(『仮面ライダー』、『ウルトラマンレオ』、『ウルトラマン80』)、脚本の伊上勝氏(『赤影』、『仮面ライダー』他平山亨プロデューサー作品)、更には作詞家の阿久悠氏、『水戸黄門』プロデューサーの西村俊一氏と、各社で腕をふるっている人材を輩出している事を考えても、'60~'70年代のテレビ映画界での存在は大きかったと思います。商品内容としては、『レッドバロン』ロケ地巡りで画像が小さかったり、当時の映像との比較では向きが逆だったり、問題点もありますが、この機会に宣弘社の功績を振り返る上では意義のある内容だと思います。

 『東映スピードアクション 浪慢アルバム』

  '70年代後半、『新幹線大爆破』や、『暴走パニック 大激突』、『暴走の季節』等のバイクアクション、そして『宇宙からのメッセージ』と、東映で製作・公開された数々の映画。大ヒットはしなかったものの、現在も一定の支持を得ているこれらの作品を体系的に語ろうという内容です。特に『新幹線大爆破』の項が同作についてかなり熱く語られており、思わず遅まきながらDVDを買ってしまいましたf^_^;。余談になりますが、観ていてひとつ気付いたのは犯人グループのリーダーが仲間思いで結束が強いところが『仮面ライダードライブ』のロイミュード幹部に通じるものがあり、『ドライブ』関連のインタビューはあまり目を通していないのですが、スタッフは意識したのか、気になりました。 後半は『宇宙からのメッセージ』関係者インタビューで、同作に関しては『緯度G大作戦'99』で平山亨プロデューサーのお話を伺っていますが、商業誌ではこれまで意外に語られる機会に恵まれなかったのでなかなか興味深い内容でした。東映特撮の歴史についても触れており、ともすればヒーロー作品の影に隠れがちな東映特撮映画に光を当てているのは特撮本としても興味をそそる内容ではと思います。 本書で取り上げている多くの作品群はシリーズ化されず一作で終わってしまったものが大半ですが、これらの作品が出た背景として、当時の東映映画は『トラック野郎』以外にはヒット作があまりなく、次なる鉱脈を模索のしていた時期だったようです。考えてみれば特撮界も同時期にはポスト『ウルトラ』、ポスト『ライダー』を求めて似たような状況だったと思います。昨今の国産特撮作品の多くは逆に老舗シリーズが大半を占めていますが、人気シリーズ以外の作品を作ってゆく事も大切ではないかと考えさせられました。 『怪奇大作戦』が終了し、存続が危ぶまれていたMX円谷劇場でしたが、10月4日深夜よりチャンネルが東京MX3に移動し『快獣ブースカ』がスタートしました。本作のDVDソフトは持っていなかったので嬉しい限りです。が、しかし、9月より一部地方でのテスト販売で『ブースカ』を含めた円谷プロ作品のDVDマガジンの発売がスタートしました。今回に限らずこの種の映画、テレビのシリーズ作品を扱ったDVDマガジンは最近随分出ていますが、気になるのは殆どのシリーズが既にDVD化されており、ソフトを持っている場合がかなりある事です。単価は既発売のソフトに比べて安く、解説書部分は興味を引く内容であるにしても、揃えるとなるとダブリ買いが前提となってしまい、どうも買うのに躊躇してしまいます(あくまで個人的にはですが背表紙のタイトルがロゴではないのも購買欲を削いでしまいます)。これだけ出ているという事はある程度は売れているからだとは思いますが、実際にどれぐらい売れているのか疑問です。東宝特撮のDVDマガジンは解説書部分が一冊の本に編集され出版されましたが、こ れも解説書目当てでDVDを買い揃えた方にとっては複雑な心境でしょう。


 ガメラ50周年、新作登場!?

 ガメラ50周年、新作登場!? 10月9日よりインターネット配信にて数分の『ガメラ』ショートフィルムが公開されました。皆さんもご覧になられたと思います。ギャオスの大群とガメラの闘いから始まるので、『ガメラ3』の続編か?と思ってしまいますが、7月に公開された『ULTRAMANn/a』同様に、特に新作映画の予告編と謳っておらず、この後の作品展開がどうなのかが判らないのが歯がゆいです。ガメラはじめ怪獣は立体造形物をベースにしたCGで描かれるようで、遂に国産怪獣映画もこの時が来たかという思いです。しかし来年は『ガメラ 大怪獣空中決戦』の樋口真嗣監督のゴジラが控えているだけに、より気になる存在ではあります。今後の動向に注目したいところです。

  いろいろあるよいろいろね
 
 10月27日、イラストレーターの生瀬範義さんが亡くなられました。享年79歳。国産特撮関係では何と言っても『ゴジラ』シリーズのポスターイラストがお馴染みでしたが、新作のタイトルが発表され一番初めに目にするビジュアルが生瀬氏によるポスターで、企画段階の自由なイメージで描かれたイラストの高揚感は忘れられません。 慎んでご冥福をお祈り申し上げます。 昨年は川北監督が亡くなられましたが、『ゴジラVS』シリーズは『デストロイア』から20年、それだけ年数が経っている事を感じさせられます。

  第2号が10月に発売されました『特撮秘宝』、相変わらず凄い内容でした。どれぐらい凄いかってどの記事も濃い題材と内容で、読んでいて何とも充実感がありました。 50周年という事での昭和ガメラの特集は様々な角度からの考察記事もさる事ながら、俳優並びに現場スタッフのインタビューがとにかく圧巻でした。多くの方が旧大映倒産を機に映像業界を離れているにも関わらずよく探し出せたと思います。一作目のガメラ造形は東宝スタッフのサポートがあったものの、特撮自体に関しては独自のノウハウが確立していた事(元々大映特撮はリアル志向でした)、当時の大映スタッフの優秀さと心意気を実感しました。他の業界で活躍されているのは嬉しく思いますが、映像業界を離れてしまったのは残念に思います。昭和ガメラは子どもの時分劇場で観た事はありませんでしたが、テレビで放送があればほぼ観ていましたし、一度観てストーリーは判っていても楽しんで観ていました。バカにする向きもありますが、シリーズされただけの事はあると改めて思いました。 長年幻とされ、5年前にフィルムが発見されたと話題になった『空飛ぶ円盤恐怖の襲撃』の記事はコマ焼き、いやフィルムからのチャプターによる「誌上ロードショー」(!)で、未見の作品にこういう形で触れるのはかなり久しぶりです。映画の内容は地球侵略を企てる宇宙人に対し、地球人科学者が秘密裡に開発した新兵器で立ち向かうという国産SF映画としてはかなりオーソドックスなストーリーで、正直もっと安っぽい作りをイメージしていた映像も、記事を見る限りでは古臭さは否めないもののこの時代としてはかなり本格的なもので驚きました。フィルムは修復作業中との事ですがソフト化が待たれます。 それにしても『大特撮』メイキングの後のページが中野昭慶監督の特集記事なのには苦笑いしてしまいました。何はともあれ『特撮秘宝』はこの調子で突き進んで行って欲しいものです。

 先日、中野昭慶監督の傘寿をお祝いして都内でパーティーが行われました。『妖星ゴラス』劇中歌『俺ら宇宙のパイロット』を我々Gスタッフがいきなり壇上で歌う事になる一幕もありましたが、不詳となっていた同曲の作詞がなんと実は中野監督(当時助監督)で、歌を入れようという案も中野監督からだっだそうです。監督は益々お元気でこちらが元気付けられました。これからもどうかお元気で、私達にいろいろなお話しを聞かせていただきたいです。

 今年も『緯度G大作戦』を迎え、年末が近づいて来ました。来年2016年は国産『ゴジラ』新作が控え、50周年の『ガメラ』、『ウルトラ』はどうなるか。ハリウッドは『ゴジラvsキングコング』が決まり、各方面で動きがあるようです。河崎実監督の『アウターマン』も気になります。果たしてどんな年になるか。ちょっと早いですが来年もどうかよろしくお願いします。

 
  おわりに

 先日、中野昭慶監督の傘寿をお祝いして都内でパーティーが行われました。『妖星ゴラス』劇中歌『俺ら宇宙のパイロット』を我々Gスタッフがいきなり壇上で歌う事になる一幕もありましたが、不詳となっていた同曲の作詞がなんと実は中野監督(当時助監督)で、歌を入れようという案も中野監督からだっだそうです。監督は益々お元気でこちらが元気付けられました。これからもどうかお元気で、私達にいろいろなお話しを聞かせていただきたいです。

 今年も『緯度G大作戦』を迎え、年末が近づいて来ました。来年2016年は国産『ゴジラ』新作が控え、50周年の『ガメラ』、『ウルトラ』はどうなるか。ハリウッドは『ゴジラvsキングコング』が決まり、各方面で動きがあるようです。河崎実監督の『アウターマン』も気になります。果たしてどんな年になるか。ちょっと早いですが来年もどうかよろしくお願いします。