2020年 第2号 Vol.184
 
 編集・構成 奥貫 晃

 
 発行人:今井 康了
 発行:日本特撮ファンクラブG
 

  はじめに

 こんにちは。珍しく(?)矢継ぎ早の第2号となりました。予告通り、2019秋冬イベントレポートの続きから始めさせていただきます。


  2019秋冬特撮イベント(後編)

 『特撮映像関連コレクション保存・公開・展示の未来』
 2019年12月1日 乃村工藝社本社ビル地下1階ノムラスタジオ   主催 日本ミュージアム・マネージメント学会

 前日の『小松左京音楽祭』の興奮醒めやらぬ中、会場は我々中高年の特撮ファンが席の前半分を占める一方、後ろ半分を主催者(大学の先生)の教え子である女子大生が占めるという、些か奇妙な客層となりました。
 
 まず、フィルム保存についての講演される清水俊文氏は東宝映画助監督として『ゴジラ』シリーズでご活躍の後、近年では東京現像所で『キングコング対ゴジラ』4K復元版の制作に尽力された方です。会場の約半分が20歳前後の女子大生が占めている事もあってか、お話はまずフィルムが如何なるものかの説明から始まりました。現在20歳ぐらいの世代だとフィルムがどういうものか、全く知らないまま大人になってしまう人がいてもおかしくない訳です。『キングコング対ゴジラ』復元にまつわるお話から、アナログメディアであるフィルムは時間が経てば経つほど劣化してゆき、フィルムがスキャナーを通らなくなるとデジタル化は不可能になってしまう(!)、フィルムの修復、デジタル化には費用が掛かるため、「(修復を実現していくのは)皆さんの声にかかっています。」との言葉で締めくくられました。折しも本講演の直後に都内の劇場で上映予定だった『石中先生行状記』('50年東宝)が都合により上映中止になってしまう事態が発生してしまいました。はっきりした理由は不明ですが、フィルムの状態が原因である
事が考えられ、この言葉を思い出しました。幸い同作は3月に上映されるそうですが、古い作品の中にはジャンクされてしまった作品もあると聞きます。東宝作品は特撮作品に関してはは旧作でも殆どの作品が現在はソフトやCS等で見る事が可能なので、ソフト化されていない作品でも旧作は良好な状態で保管されていると思い勝ちですが、決してそうではない事を思い知らされました。
 
 続いては、原口智生氏の講演となりました。原口氏は特殊メイクのみならず、平成ガメラの造形や『ウルトラマンメビウス』特技監督としても知られていますが、近年では「特撮ミニチュアプロップ修復師」としても活動されています。途中より特殊美術の三池敏夫氏が参加されました。幼少期より縁あって東宝撮影所や円谷プロ等に出入りされ特撮用のミニチュアに接してこられた原口氏により、会場にはマットアロー1号のミニチュアとスペクトルマンの飛び人形が持ち込まれ、休憩時間には我々の注目を集めていました。こうしたミニチュアの保存、修復、展示を目的とした特撮アーカイブ機構「ATAC」の発起人である原口氏のお話は、ただ保存、展示の場所を作りミニチュアを綺麗にすれば良いという訳ではなく、撮影に必要なディティール(ピアノ線をかけるフックや電飾のスイッチ等操演に関わる部分と思われます)を残す事が大切で、そのためには専門の知識が必要との事でした。プラモデル等通常の模型は飾る事が目的でそれ自体が完成品なのに対し、撮影用のミニチュアは映像作りの言わば材料の一つであり、「中間制作物」と呼ぶのはそうした由縁な訳です。清水氏もデジタル化に際し、消す事が可能なピアノ線を敢えて消さないそうです(特撮作品は高画質になればなるほどピアノ線や合成のマスクのズレが目についてしまいますが)。本講演の題名であるミニチュアの修復、保存、展示は、CGが中心となってゆく中、アナログ技術の存在~ピアノ線で吊る等様々な仕掛けを施す事で動かない物を動いているように見せてゆく~がある事を伝えてゆく考えの元に行うという事を改めて認識しました。

 現在では当たり前に観賞出来るようになった旧作、以前に比べ展示の機会が増えたミニチュアですが、こうした人達の尽力があって成り立っている訳です。お二方には頭が下がる思いですが、同時に自分も出来る事があればやっていかなければと考えさせられる講演会でした。

関連記事  https://av.watch.impress.co.jp/docs/series/higuchi/1236/807/index.html#click=https://t.co/PzqbmOfMFY

  『TSUBURAYA CONVENTION 2019(ツブコン)』

 2019年12月14日、15日 東京ドームシティ
 公式としてはかなり大々的なイベントとして2日間に渡り開催された本イベント。トークショーについては都合によりあまり観る事は出来ませんでしたが2日とも行く事は出来ました。『シン・ウルトラマン』でカラータイマーのないウルトラマンのデザインが発表されていました。

 1日目は『怪獸倶楽部』トークショーに参加しました。'17年にドラマ化されましたが、実像については'12年より『まんだらけZENBU』に連載されていた『PUFFと怪獸倶楽部の時代』が単行本化され、大分明らかになりました。子ども時代に本多猪四郎・円谷英二コンビの東宝特撮映画から『ウルトラQ』の洗礼を受けた世代の方々が、集結し活動を始めたのは『メカゴジラの逆襲』、『ウルトラマンレオ』でそれぞれシリーズが一旦終了し、このままでは巨大怪獣もののジャンル自体が今で言う「オワコン」になりかねない状況だった'75年前後でした。世間的には人知れず行われてきた活動がやがて『ファンコレ』を始めとする商業出版物やレコード発売に繋がって行き再ブームを巻き起こし、子どもだけでなく我々当時の青年層にも人気を定着させていったエピソードは、自分にとっても特撮ファンである原点であり、何度聞いてもワクワクさせられます。円谷プロが現在まで存続してこられたのはこの方たちの功績が確実にある訳で、こうして公式の場でトークショーが行われる事は感慨深く思いました。
2日目は昼より円谷ワンフェス会場を回っていましたが、会場内で『ウルトラマンタロウ』でタロウの着ぐるみを演じられた長沢寛氏のトークショーがありました。最近になってSNSで消息が判明した長沢氏、タロウ役にキャスティングされたいきさつは、役者を目指しておりアクションの勉強をしようと参加していたのがミラーマン、ファイヤーマン、ジャンボーグ9と円谷ヒーローを演じていた西条満氏のグループで、長身を買われての抜擢だったそうです。撮影では着ぐるみが破ける、角が折れるといった損傷が絶えなかったが、自転車のパンクと同じ要領で修理するスタッフが上手かったとのお話でした。実際、本編中ではロードラ戦で一瞬角が折れるカットが映っていますが、撮影では他にもかなりあったようです。『タロウ』の後は『マッハバロン』前半で着ぐるみを演じられた(中山太郎名義?)との事でした。余談ですがウルトラマンAの着ぐるみを演じていた武内正治、中西正両氏が『A』の2年後『特別機動捜査隊』#666「剣と女」に出演していました(役は不明)。両氏とも同じ事務所か劇団だったのでしょうか。

 それにしても驚いたのは『かいじゅうのすみか』に登場した『ファイヤーマン』怪獣ムクムクのブレイクぶりで、会場内のコンビニにぬいぐるみが並べられていた事です。確かにブースカの流れを汲むデザイン、造形で女性に人気が得られそうなデザインではありますが、初登場から(そもそも『ファイヤーマン』怪獣自体、当時商品化されたものは殆どありませんでした)半世紀近く経ってここまで商品化されるとは誰が予想したでしょうか。

 今後は2年おきに行う予定との事で、一般層に円谷作品の魅力を発信してゆく意義を思うと『ウルフェス』同様定着していけばと思います。

  『特撮のDNA展 平成ガメラの衝撃と奇想の大映特撮』

 2019年12月13日~2020年1月26日 日本工学院専門学校 ギャラリー鴻

 ちょうど1年前同じ場所で開催された「東宝編」に続き、今回は「大映(現・KADOKAWA)編」となりました。今年は『ガメラ 大怪獣空中決戦』から四半世紀、東宝、東映、円谷に比べ作品の絶対数は少ないですが、その分一作毎のボリュームはあったと思います。更にメイキングにスペースを割いており、『~大怪獣空中決戦』劇中でガメラとギャオスが雲海で空中戦を行うセットが再現されていました。綿を材料にした雲のミニチュア作りには会場である専門学校の生徒さんが関わっていたそうです。他に平成『ガメラ』のスタッフで旧大映出身、昭和『ガメラ』にも関わった照明技師・林方谷氏による昭和時代の大映No.4ステージを再現した『ガメラ対大魔神』(架空の作品^_^)撮影風景のジオラマもあり楽しく拝見しました。怪獣の着ぐるみは展示用のレプリカが中心でしたが撮影用の仕掛けのあるものも結構ありました。昭和関係では『大怪獣ガメラ』に登場したタンク車があり、よく残っていたものです。欲を言えばメイキングでは平成『ガメラ』で非常に印象的だったビルや民家、送電線越しに怪獣を捉えたカットを再現するコーナーがあればと思いました。雲海も決して悪くはないのですが、この方が一般の観客にも特撮に対しより深い興味を持ってもらうきっかけになり、先の「ミニチュアの修復、保存、展示」に通じる意義があると思うのですが、建造物に関しては当時のミニチュアが残っていないか、或いはミニチュア専門のリース業者が管理している等の事情があるのでしょうか。建造物を絡めた展示は『ガメラ3』当時にありましたがいつかまた実現してほしいです。

 関係者のご来場も多かったようで、私が行った当日は『ガメラ2』でガメラを演じた大橋明氏が来られており、ガメラを挟んで記念撮影させていただきました(ありがとうございます)。次回は今年7月11日(日)~9月7日(月)、山梨で開催、サブタイトルは『ゴジラ、富士山にあらわる』との事です。回を重ね、今回は大映、次回は再び東宝と一回毎にテーマを絞っているようです。『緯度G大作戦2020』の直後、オリンピックと重なりますが楽しみです。 この原稿保存したいです
 
 最後に、平成『ガメラ』シリーズはじめ各社で美術スタッフとしてご活躍された寒河江弘さんのご冥福をお祈り申し上げます。

   『シン・ウルトラマン』

 前号を出した直後に製作が発表された『シン・ウルトラマン』、現在のところキャスティングと『ツブコン』にて初代ウルトラマンのカラータイマー無しのデザインが発表されました(もしや古谷敏さんがモーションキャプチャーを担当されるのでしょうか?)。賛否あったようですが、完成作品を観ない事には何とも言えないように思います。撮影は秋にもう終わっているそうで、CGの比率がかなりあるかと思われます。
 第一報を聞いて驚いたのが東宝が配給だけでなく製作にも関わっている事で、劇場版ウルトラシリーズは配給は松竹、撮影所は日活の体制がすっかり定着していたので意外でした(東宝マークのウルトラマンは『USA』以来約30年ぶり)。実は『シン・ゴジラ』より前から企画されていたとの話も聞きます。一方で東映アニメーションとの共同企画もあるようで、塚越体制になって随分各方面に積極的になっているなと思います。
 リアル志向というと、'04年『ULTRAMAN』がヒットしていればウルトラシリーズの流れはまた違ったのではと思ってしまいますが、特に現在のテレ東のシリーズが頑張りは感じられるものの低予算との戦いを強いられている感が強いだけに、ここで大きな予算をかけた新作を送り出す事は大歓迎です。公開まであと1年ありますが、今後の動向を見守ってゆきたいところです。

   ウルトラマンタイガ』終了

 12月に例年通り最終回を迎えた『ウルトラマンタイガ』、終盤は地球規模の危機に対しヒロインが重要な鍵を握る存在である事が明かされる展開で、前作『R/B』の終盤と被る感が無きにしもあらず、トレギアとの決着はつかず、因縁もまだはっきり明かされないままで(べリアル同様今後のシリーズにも登場するかも知れませんが)、些かあっさりとした終盤となりました。3月には劇場版が控えており、テレビシリーズ最終回は最終回であって最終回でないところがあるのが難しいところでしょう。最終章は3部作ではなく前後編でしたが、節目のエピソードが減った分1話完結エピソードが若干増えたねは半年間のシリーズとしては妥当かと思います。ハードタッチ寄りになったストーリーの一方、旧作では凶悪な敵役だった宇宙人が妙に善良なキャラクターとして描かれるケースが目立ちましたが、『ウルトラゾーン』や『ウルトラ怪獣散歩』を観てきたせいか意外に違和感はありませんでした。中でも21話は害意のないゴース星人が育てていたパンドンが地球で巨大化し暴れだし、地球人に疑われるという、『戦え!マイティジャック』のモノロン星人(着ぐるみはゴース星人改造)の回のリメイクに思えました。作り手が意識したかどうか判りませんが。
 今回の収穫は特撮シーンの充実ぶりで、特に18話は冒頭の走る電車からの内引きから見たベムラーに始まって、クライマックスのタイガとゼットンの闘いではミニチュアの商店街の中に逃げ遅れた(?)人が合成されていて思わず巻き戻してしまいましたf^_^;。ある筋によると監督の辻本貴則氏より、美術スタッフが暴走しているそうです。『ギンガ』以来現在の体制になって7年ほどになる訳ですが、半年おきとは言え継続して作り続ける事で如何にノウハウが蓄積されてきたかだと思います。

 今年7月からのテレビシリーズ新作も決まっているそうで、しかしそうなると『シン・ウルトラマン』との兼ね合いはどうなるのか、特に劇場版は毎年3月に松竹系で公開されているだけに気になります。

・現在放映中の『ウルトラマン ニュージェネレーションクロニクル』では『ウルトラマンサーガ』を分割して放映していたのですが、主人公が「タイガ・ノゾム」で、劇中でも「タイガ」と呼ばれるので、中CMで掛かる『ウルトラマンタイガ』劇場版予告で名前の被りに思わず苦笑いしてしまいました(子どもの視聴者の中には戸惑ってしまう子もいるのでは)。ウルトラシリーズでこれまで名前の被りは「ジャック・シンドー」があり、仮面ライダーに至ってはブラック、アギト、キバと敵幹部と名前の被りが3つありましたが。

・タッコング登場の22話、楽曲の使用など『帰ってきたウルトラマン』オマージュというかパロディがかなり盛り込まれた内容(前話同様、ストーリーは当該怪獣ではなく『ノンマルト』風)でした。この回の約2週前に放映の『リュウソウジャー』では団次朗氏演じる長老が活躍する話で、『帰ってきた~』パロディをこれでもかと盛り込んでおり、本家として負けじというのがあったのかも知れませんが、プロの作品であまりあからさまなパロディをやってしまうのは如何なものかと思いました。

   いろいろあるよ、いろいろね

 ・'90年代より雑誌『映画秘宝』をはじめ、特撮関係では『研究読本』シリーズや『特撮秘宝』等を発行し、昨年も『メカゴジラ鋼鉄図鑑』、『平成大特撮』と非常に濃い内容の特撮、映像関係ムックを発売してきた洋泉社が1月末をもって親会社である宝島社に吸合併され事実上解散となってしまいました。個人的に、『円谷プロSFドラマ大図鑑』で商業誌に初めて原稿を書かせていただいた出版社であるだけに非常に残念です。本が売れないと言われて久しいですが、『映画秘宝』の売り上げ自体は決して悪くなかったという話もあり、諸々の事情があるようです。いずれにせよこれで洋泉社より発売されてきたあれだけの出版物が店頭在庫のみとなってしまう事に加え、フリー契約の編集スタッフが失業してしまう事が大変気になります。他の出版社が『映画秘宝』スタッフで同誌の精神を受け継ぐ雑誌や本を出せないものか、願うばかりです。

 ・『ひみつ×戦士ファントミラージュ』が劇場映画化並びに4月以降の新シリーズが決定との事で、シリーズ4年目4作となりました。このシリーズは観てはいない(録画はしている)のですが、テレビ特撮の歴史を考えると4年目突入は快挙と言って良いでしょう。テレ朝・東映製作以外の特撮番組で3年以上続いた枠(時間変更も含め)と言えば、'60~'70年代にかけての2度にわたる怪獣ブーム時でさえ、第1期ウルトラシリーズを含むタケダアワー、第2期ウルトラシリーズ、第1期『仮面ライダー』シリーズ(キー局はMBS、後枠『ゴレンジャー』以降はNET)、『宇宙猿人ゴリ』から『電人ザボーガー』までのピープロ枠ぐらい。'80年代はフジテレビ・東映の『不思議コメディ』シリーズに『スケバン刑事』から『花のあすか組!』までの少女アクションシリーズ、'90年代は『ティガ』から3年続いた平成ウルトラシリーズ、'00年以降では実写『セーラームーン』から『ネクサス』に始まるCBCウルトラシリーズ、MXのL4製作『烈風』、『妖ばなし』、『鎧勇騎月兎』(再放送込み)ぐらい(?)。テレ東のウルトラ枠は半年は再放送、『超星神』シリーズは惜しくも2年9か月、『リュウケンドー』1年、『レスキュー』2部作2年という事を考えると、新規の特撮シリーズを3年以上継続する事がいかに至難の技かという事を思い知らされます。それが今回はしかも、女児向け特撮番組という新しいジャンル(実写『セーラームーン』という格好の題材でさえ果たせなかった)を定着させた事でも意義は大きいと思います。影ながらシリーズの健闘を祈ります。

 ・新戦隊『魔進戦隊キラメイジャー』が3月よりスタート。しばらく『科捜研の女』担当だった塚田英明Pが『ゲキレンジャー』以来13年ぶり(ニチアサでは『フォーゼ』以来)に復帰、メインライターは戦隊シリーズでコンスタントに参加してきた荒川稔久氏ですがメインは『ゴーカイジャー』以来と、『デカレンジャー』以来のコンビ(!)となります。戦隊初のメインスタッフが多かった『リュウソウジャー』とは打って変わってベテラン勢がメインを固めるようです。さて今回のモチーフは宝石と乗り物だそうで、乗り物関係と言えばこのところの特撮ヒーロー作品ではすっかり出番が減ってしまった感のある要素。巨大ロボが乗り物モチーフだった前々作『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』はストーリーは良かったし特撮のレベルも高かった一方で、乗り物モチーフのメカがストーリーと上手く結びついていない感があり、玩具の売れ行きが悪かったという話に頷けたのも事実でした。荒川氏の脚本は『クウガ』や『デカレンジャー』でメカやアイテムの描写に実績があるだけに乗り物人気挽回を期待したいところです。

 ・松竹と東映の共同製作で怪獣映画、しかも怪獣の死体処理を描く『大怪獣のあとしまつ』製作のニュースが入ってきてビックリ!製作体制といい内容といい前代未聞で、エイプリルフールかと思ってしまうこの企画、過去には怪獣の出てこない怪獣映画として『大怪獣東京に現る』がありましたが、今回は巨費を投じるそうで、そうなると何が飛び出すか楽しみです。何にせよ特撮界、映画界をいい意味で引っかき回す作品を期待したいところです。

 今回もお待たせしてしまいました。気が付いたらG会報担当になって丸20年となりました。初の担当号では『ウルトラマンガイア』終了、『ゴジラ2000ミレニアム』公開、『仮面ライダークウガ』スタートを取り上げていた事が思い出されます。これらの作品がもう20年!Gが来年40周年なので、ようやくGの歴史の半分まで辿り着いたかという思いもあります。元気な内は続けていけたらと思っています。今後とも宜しくお願いし・ヤクルトスワローズ元監督・野村克也さんが亡くなられました。'90年代、4回の優勝、内3回は日本一の功績も去る事ながら、「負けに不思議の負けなし」、「金を残すは下、仕事を残すは中、人を残すは上」といった数々の言葉は、野球の世界に留まらない名言でした。後者は特に昨年亡くなられた矢島信男監督の功績にも通じるものがあるように思います。'92年、西武との日本シリーズ第7戦は神宮球場で観戦しました。残念ながら試合は負けてしまい日本一は逃しましたが、逆転につぐ逆転で忘れられない試合でした。慎んでご冥福をお祈り申し上げます。

・4月からのNHK朝の連続テレビ小説は古関裕爾さんの生涯をモデルとした『エール』。古関裕爾さんは特撮関係では'61年『モスラ』の音楽並びに『モスラの唄』の作曲でお馴染みですね。『モスラの唄』とNHKと言えば、以前Gの旅行で古関裕爾記念館に行った事があり、『モスラの唄』直筆の譜面が展示されていたのですが、NHKの名前が入った譜面用紙が使用されており、「NHK以外の仕事には使用しないで下さい」との但し書きがしてあり、「思い切りNHK以外の仕事じゃないか」と、一同ツッコんだものでした。何にせよ特撮ファンとしては劇中で果たして『モスラの唄』がどう扱われるか気になるところです。

・新戦隊『魔進戦隊キラメイジャー』が3月よりスタートしました。しばらく『科捜研の女』担当だった塚田英明Pが『ゲキレンジャー』以来13年ぶり(ニチアサでは『フォーゼ』以来)に復帰、メインライターは戦隊シリーズでコンスタントに参加してきた荒川稔久氏ですがメインは『ゴーカイジャー』以来と、『デカレンジャー』以来のコンビ(!)となります。戦隊初のメインスタッフが多かった『リュウソウジャー』とは打って変わってベテラン勢がメインを固めるようです。さて今回のモチーフは宝石と乗り物で、乗り物関係はこのところの特撮ヒーロー作品ではすっかり出番が減ってしまった感のある要素。巨大ロボが乗り物モチーフだった前々作『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』は2大戦隊の人間関係に絡むドラマは良く出来ており、特撮のレベルも高かった一方で、乗り物モチーフのメカがストーリーと上手く結びついていない感があり、玩具の売れ行きが悪かったという話に頷けたのも事実でした。1、2話を観る限りでは、巨大ロボットと合体するメカがレッドのイメージから作られる展開が斬新でしたが、モチーフとなる乗り物がが各メンバーのキャラクターに合わせた設定だったり、『ルパパト』の弱点に対し作り手も意識しているように感じられました。荒川氏の脚本は『クウガ』や『デカレンジャー』でメカやアイテムの描写に実績があるだけに乗り物人気挽回を期待したいところです。

・松竹と東映の共同製作で怪獣映画、しかも怪獣の死体処理を描く『大怪獣のあとしまつ』製作のニュースが入ってきてビックリ!製作体制といい内容といい前代未聞で、エイプリルフールかと思ってしまいました。松竹と東映が組んだ作品と言えば過去には『蒲田行進曲』があり、こちらは松竹製作、東映京都製作協力でしたが今回は50:50なのでしょうか。又、怪獣の出てこない怪獣映画として『大怪獣東京に現る』がありましたが、今回は巨費を投じるそうで、そうなると何が飛び出すか楽しみです。とにかく特撮界、映画界をいい意味で引っかき回す作品になってほしいものです。

 新型コロナウィルスの影響で『ウルトラマンタイガ』劇場版が公開延期となり、他にも各種娯楽施設、イベントが休園、休止と、まさかの状況にエンタメ業界の打撃は計り知れないと思われます。3月上旬に予定されていたGの会合も延期となりました。とにかく早く収束して欲しいです。6月28日の『緯度G大作戦2020』でお会い出来る事を祈りましょう。それではまた!