|
はじめに |
こんにちは。珍しく(?)矢継ぎ早の第2号となりました。予告通り、2019秋冬イベントレポートの続きから始めさせていただきます。 |
2019秋冬特撮イベント(後編) |
『特撮映像関連コレクション保存・公開・展示の未来』 |
『TSUBURAYA CONVENTION 2019(ツブコン)』 |
2019年12月14日、15日 東京ドームシティ |
『特撮のDNA展 平成ガメラの衝撃と奇想の大映特撮』 |
2019年12月13日~2020年1月26日 日本工学院専門学校 ギャラリー鴻 ちょうど1年前同じ場所で開催された「東宝編」に続き、今回は「大映(現・KADOKAWA)編」となりました。今年は『ガメラ 大怪獣空中決戦』から四半世紀、東宝、東映、円谷に比べ作品の絶対数は少ないですが、その分一作毎のボリュームはあったと思います。更にメイキングにスペースを割いており、『~大怪獣空中決戦』劇中でガメラとギャオスが雲海で空中戦を行うセットが再現されていました。綿を材料にした雲のミニチュア作りには会場である専門学校の生徒さんが関わっていたそうです。他に平成『ガメラ』のスタッフで旧大映出身、昭和『ガメラ』にも関わった照明技師・林方谷氏による昭和時代の大映No.4ステージを再現した『ガメラ対大魔神』(架空の作品^_^)撮影風景のジオラマもあり楽しく拝見しました。怪獣の着ぐるみは展示用のレプリカが中心でしたが撮影用の仕掛けのあるものも結構ありました。昭和関係では『大怪獣ガメラ』に登場したタンク車があり、よく残っていたものです。欲を言えばメイキングでは平成『ガメラ』で非常に印象的だったビルや民家、送電線越しに怪獣を捉えたカットを再現するコーナーがあればと思いました。雲海も決して悪くはないのですが、この方が一般の観客にも特撮に対しより深い興味を持ってもらうきっかけになり、先の「ミニチュアの修復、保存、展示」に通じる意義があると思うのですが、建造物に関しては当時のミニチュアが残っていないか、或いはミニチュア専門のリース業者が管理している等の事情があるのでしょうか。建造物を絡めた展示は『ガメラ3』当時にありましたがいつかまた実現してほしいです。 関係者のご来場も多かったようで、私が行った当日は『ガメラ2』でガメラを演じた大橋明氏が来られており、ガメラを挟んで記念撮影させていただきました(ありがとうございます)。次回は今年7月11日(日)~9月7日(月)、山梨で開催、サブタイトルは『ゴジラ、富士山にあらわる』との事です。回を重ね、今回は大映、次回は再び東宝と一回毎にテーマを絞っているようです。『緯度G大作戦2020』の直後、オリンピックと重なりますが楽しみです。 この原稿保存したいです 最後に、平成『ガメラ』シリーズはじめ各社で美術スタッフとしてご活躍された寒河江弘さんのご冥福をお祈り申し上げます。 |
『シン・ウルトラマン』 |
前号を出した直後に製作が発表された『シン・ウルトラマン』、現在のところキャスティングと『ツブコン』にて初代ウルトラマンのカラータイマー無しのデザインが発表されました(もしや古谷敏さんがモーションキャプチャーを担当されるのでしょうか?)。賛否あったようですが、完成作品を観ない事には何とも言えないように思います。撮影は秋にもう終わっているそうで、CGの比率がかなりあるかと思われます。 第一報を聞いて驚いたのが東宝が配給だけでなく製作にも関わっている事で、劇場版ウルトラシリーズは配給は松竹、撮影所は日活の体制がすっかり定着していたので意外でした(東宝マークのウルトラマンは『USA』以来約30年ぶり)。実は『シン・ゴジラ』より前から企画されていたとの話も聞きます。一方で東映アニメーションとの共同企画もあるようで、塚越体制になって随分各方面に積極的になっているなと思います。 リアル志向というと、'04年『ULTRAMAN』がヒットしていればウルトラシリーズの流れはまた違ったのではと思ってしまいますが、特に現在のテレ東のシリーズが頑張りは感じられるものの低予算との戦いを強いられている感が強いだけに、ここで大きな予算をかけた新作を送り出す事は大歓迎です。公開まであと1年ありますが、今後の動向を見守ってゆきたいところです。 |
『ウルトラマンタイガ』終了 |
12月に例年通り最終回を迎えた『ウルトラマンタイガ』、終盤は地球規模の危機に対しヒロインが重要な鍵を握る存在である事が明かされる展開で、前作『R/B』の終盤と被る感が無きにしもあらず、トレギアとの決着はつかず、因縁もまだはっきり明かされないままで(べリアル同様今後のシリーズにも登場するかも知れませんが)、些かあっさりとした終盤となりました。3月には劇場版が控えており、テレビシリーズ最終回は最終回であって最終回でないところがあるのが難しいところでしょう。最終章は3部作ではなく前後編でしたが、節目のエピソードが減った分1話完結エピソードが若干増えたねは半年間のシリーズとしては妥当かと思います。ハードタッチ寄りになったストーリーの一方、旧作では凶悪な敵役だった宇宙人が妙に善良なキャラクターとして描かれるケースが目立ちましたが、『ウルトラゾーン』や『ウルトラ怪獣散歩』を観てきたせいか意外に違和感はありませんでした。中でも21話は害意のないゴース星人が育てていたパンドンが地球で巨大化し暴れだし、地球人に疑われるという、『戦え!マイティジャック』のモノロン星人(着ぐるみはゴース星人改造)の回のリメイクに思えました。作り手が意識したかどうか判りませんが。 今回の収穫は特撮シーンの充実ぶりで、特に18話は冒頭の走る電車からの内引きから見たベムラーに始まって、クライマックスのタイガとゼットンの闘いではミニチュアの商店街の中に逃げ遅れた(?)人が合成されていて思わず巻き戻してしまいましたf^_^;。ある筋によると監督の辻本貴則氏より、美術スタッフが暴走しているそうです。『ギンガ』以来現在の体制になって7年ほどになる訳ですが、半年おきとは言え継続して作り続ける事で如何にノウハウが蓄積されてきたかだと思います。 今年7月からのテレビシリーズ新作も決まっているそうで、しかしそうなると『シン・ウルトラマン』との兼ね合いはどうなるのか、特に劇場版は毎年3月に松竹系で公開されているだけに気になります。 ・現在放映中の『ウルトラマン ニュージェネレーションクロニクル』では『ウルトラマンサーガ』を分割して放映していたのですが、主人公が「タイガ・ノゾム」で、劇中でも「タイガ」と呼ばれるので、中CMで掛かる『ウルトラマンタイガ』劇場版予告で名前の被りに思わず苦笑いしてしまいました(子どもの視聴者の中には戸惑ってしまう子もいるのでは)。ウルトラシリーズでこれまで名前の被りは「ジャック・シンドー」があり、仮面ライダーに至ってはブラック、アギト、キバと敵幹部と名前の被りが3つありましたが。 ・タッコング登場の22話、楽曲の使用など『帰ってきたウルトラマン』オマージュというかパロディがかなり盛り込まれた内容(前話同様、ストーリーは当該怪獣ではなく『ノンマルト』風)でした。この回の約2週前に放映の『リュウソウジャー』では団次朗氏演じる長老が活躍する話で、『帰ってきた~』パロディをこれでもかと盛り込んでおり、本家として負けじというのがあったのかも知れませんが、プロの作品であまりあからさまなパロディをやってしまうのは如何なものかと思いました。 |
いろいろあるよ、いろいろね |
・'90年代より雑誌『映画秘宝』をはじめ、特撮関係では『研究読本』シリーズや『特撮秘宝』等を発行し、昨年も『メカゴジラ鋼鉄図鑑』、『平成大特撮』と非常に濃い内容の特撮、映像関係ムックを発売してきた洋泉社が1月末をもって親会社である宝島社に吸合併され事実上解散となってしまいました。個人的に、『円谷プロSFドラマ大図鑑』で商業誌に初めて原稿を書かせていただいた出版社であるだけに非常に残念です。本が売れないと言われて久しいですが、『映画秘宝』の売り上げ自体は決して悪くなかったという話もあり、諸々の事情があるようです。いずれにせよこれで洋泉社より発売されてきたあれだけの出版物が店頭在庫のみとなってしまう事に加え、フリー契約の編集スタッフが失業してしまう事が大変気になります。他の出版社が『映画秘宝』スタッフで同誌の精神を受け継ぐ雑誌や本を出せないものか、願うばかりです。 ・『ひみつ×戦士ファントミラージュ』が劇場映画化並びに4月以降の新シリーズが決定との事で、シリーズ4年目4作となりました。このシリーズは観てはいない(録画はしている)のですが、テレビ特撮の歴史を考えると4年目突入は快挙と言って良いでしょう。テレ朝・東映製作以外の特撮番組で3年以上続いた枠(時間変更も含め)と言えば、'60~'70年代にかけての2度にわたる怪獣ブーム時でさえ、第1期ウルトラシリーズを含むタケダアワー、第2期ウルトラシリーズ、第1期『仮面ライダー』シリーズ(キー局はMBS、後枠『ゴレンジャー』以降はNET)、『宇宙猿人ゴリ』から『電人ザボーガー』までのピープロ枠ぐらい。'80年代はフジテレビ・東映の『不思議コメディ』シリーズに『スケバン刑事』から『花のあすか組!』までの少女アクションシリーズ、'90年代は『ティガ』から3年続いた平成ウルトラシリーズ、'00年以降では実写『セーラームーン』から『ネクサス』に始まるCBCウルトラシリーズ、MXのL4製作『烈風』、『妖ばなし』、『鎧勇騎月兎』(再放送込み)ぐらい(?)。テレ東のウルトラ枠は半年は再放送、『超星神』シリーズは惜しくも2年9か月、『リュウケンドー』1年、『レスキュー』2部作2年という事を考えると、新規の特撮シリーズを3年以上継続する事がいかに至難の技かという事を思い知らされます。それが今回はしかも、女児向け特撮番組という新しいジャンル(実写『セーラームーン』という格好の題材でさえ果たせなかった)を定着させた事でも意義は大きいと思います。影ながらシリーズの健闘を祈ります。 ・新戦隊『魔進戦隊キラメイジャー』が3月よりスタート。しばらく『科捜研の女』担当だった塚田英明Pが『ゲキレンジャー』以来13年ぶり(ニチアサでは『フォーゼ』以来)に復帰、メインライターは戦隊シリーズでコンスタントに参加してきた荒川稔久氏ですがメインは『ゴーカイジャー』以来と、『デカレンジャー』以来のコンビ(!)となります。戦隊初のメインスタッフが多かった『リュウソウジャー』とは打って変わってベテラン勢がメインを固めるようです。さて今回のモチーフは宝石と乗り物だそうで、乗り物関係と言えばこのところの特撮ヒーロー作品ではすっかり出番が減ってしまった感のある要素。巨大ロボが乗り物モチーフだった前々作『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』はストーリーは良かったし特撮のレベルも高かった一方で、乗り物モチーフのメカがストーリーと上手く結びついていない感があり、玩具の売れ行きが悪かったという話に頷けたのも事実でした。荒川氏の脚本は『クウガ』や『デカレンジャー』でメカやアイテムの描写に実績があるだけに乗り物人気挽回を期待したいところです。 ・松竹と東映の共同製作で怪獣映画、しかも怪獣の死体処理を描く『大怪獣のあとしまつ』製作のニュースが入ってきてビックリ!製作体制といい内容といい前代未聞で、エイプリルフールかと思ってしまうこの企画、過去には怪獣の出てこない怪獣映画として『大怪獣東京に現る』がありましたが、今回は巨費を投じるそうで、そうなると何が飛び出すか楽しみです。何にせよ特撮界、映画界をいい意味で引っかき回す作品を期待したいところです。 今回もお待たせしてしまいました。気が付いたらG会報担当になって丸20年となりました。初の担当号では『ウルトラマンガイア』終了、『ゴジラ2000ミレニアム』公開、『仮面ライダークウガ』スタートを取り上げていた事が思い出されます。これらの作品がもう20年!Gが来年40周年なので、ようやくGの歴史の半分まで辿り着いたかという思いもあります。元気な内は続けていけたらと思っています。今後とも宜しくお願いし・ヤクルトスワローズ元監督・野村克也さんが亡くなられました。'90年代、4回の優勝、内3回は日本一の功績も去る事ながら、「負けに不思議の負けなし」、「金を残すは下、仕事を残すは中、人を残すは上」といった数々の言葉は、野球の世界に留まらない名言でした。後者は特に昨年亡くなられた矢島信男監督の功績にも通じるものがあるように思います。'92年、西武との日本シリーズ第7戦は神宮球場で観戦しました。残念ながら試合は負けてしまい日本一は逃しましたが、逆転につぐ逆転で忘れられない試合でした。慎んでご冥福をお祈り申し上げます。 ・4月からのNHK朝の連続テレビ小説は古関裕爾さんの生涯をモデルとした『エール』。古関裕爾さんは特撮関係では'61年『モスラ』の音楽並びに『モスラの唄』の作曲でお馴染みですね。『モスラの唄』とNHKと言えば、以前Gの旅行で古関裕爾記念館に行った事があり、『モスラの唄』直筆の譜面が展示されていたのですが、NHKの名前が入った譜面用紙が使用されており、「NHK以外の仕事には使用しないで下さい」との但し書きがしてあり、「思い切りNHK以外の仕事じゃないか」と、一同ツッコんだものでした。何にせよ特撮ファンとしては劇中で果たして『モスラの唄』がどう扱われるか気になるところです。 ・新戦隊『魔進戦隊キラメイジャー』が3月よりスタートしました。しばらく『科捜研の女』担当だった塚田英明Pが『ゲキレンジャー』以来13年ぶり(ニチアサでは『フォーゼ』以来)に復帰、メインライターは戦隊シリーズでコンスタントに参加してきた荒川稔久氏ですがメインは『ゴーカイジャー』以来と、『デカレンジャー』以来のコンビ(!)となります。戦隊初のメインスタッフが多かった『リュウソウジャー』とは打って変わってベテラン勢がメインを固めるようです。さて今回のモチーフは宝石と乗り物で、乗り物関係はこのところの特撮ヒーロー作品ではすっかり出番が減ってしまった感のある要素。巨大ロボが乗り物モチーフだった前々作『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』は2大戦隊の人間関係に絡むドラマは良く出来ており、特撮のレベルも高かった一方で、乗り物モチーフのメカがストーリーと上手く結びついていない感があり、玩具の売れ行きが悪かったという話に頷けたのも事実でした。1、2話を観る限りでは、巨大ロボットと合体するメカがレッドのイメージから作られる展開が斬新でしたが、モチーフとなる乗り物がが各メンバーのキャラクターに合わせた設定だったり、『ルパパト』の弱点に対し作り手も意識しているように感じられました。荒川氏の脚本は『クウガ』や『デカレンジャー』でメカやアイテムの描写に実績があるだけに乗り物人気挽回を期待したいところです。 ・松竹と東映の共同製作で怪獣映画、しかも怪獣の死体処理を描く『大怪獣のあとしまつ』製作のニュースが入ってきてビックリ!製作体制といい内容といい前代未聞で、エイプリルフールかと思ってしまいました。松竹と東映が組んだ作品と言えば過去には『蒲田行進曲』があり、こちらは松竹製作、東映京都製作協力でしたが今回は50:50なのでしょうか。又、怪獣の出てこない怪獣映画として『大怪獣東京に現る』がありましたが、今回は巨費を投じるそうで、そうなると何が飛び出すか楽しみです。とにかく特撮界、映画界をいい意味で引っかき回す作品になってほしいものです。 新型コロナウィルスの影響で『ウルトラマンタイガ』劇場版が公開延期となり、他にも各種娯楽施設、イベントが休園、休止と、まさかの状況にエンタメ業界の打撃は計り知れないと思われます。3月上旬に予定されていたGの会合も延期となりました。とにかく早く収束して欲しいです。6月28日の『緯度G大作戦2020』でお会い出来る事を祈りましょう。それではまた! |